2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

禁区ー45

「あっ…だめ…ぇっ…」 また自分を求め始めた雪田に、晴美は応えながら、これ以上されたら腰が抜けて帰れなくなると呟く。 「そんな事言って…もっと欲しいって顔してるぞ…」 晴美の甘さを含んだ声に、雪田はそんな事言って求めているのはどっちだと意地悪気に…

禁区ー44

雪田と晴美は、あれから週に二日程度の割合で逢瀬を重ねている。 主治医と患者の時よりは顔を合わせてはいるが、不倫とはいえ、恋愛関係になったなら少ないと考えてしまうのは恋心というものだろう。 「あれから、僕に会えないからって危ない遊びしてないだ…

禁区ー43

それから半年後… 「もう…半年だね…?あれから…」 「そうだな…」 とあるホテルのベッドの上…晴美と雪田は横たわりながら、初めて関係を結んだ日を思い返していた。あの日から晴美は主治医を雪田から別の病院の医師に変えた。 雪田のように癒しを感じてはいな…

禁区ー42

「ダメですよ…そんな事…言ったり…しちゃ…」 自分の背中を抱き締めながら、愛の言葉とも思える言葉を呟く雪田に、晴美は自然と零れる涙を拭きながら、そういう事を言われたらその気になってしまうから言わないで欲しいと呟く。 「だから、中途半端な気持ちで…

禁区ー41

「統合失調症の治療なら他の医師でも大丈夫だろ?」 一夜の関係にはもう慣れっこだと笑う晴美に、雪田は統合失調症の治療なら他の医師でも大丈夫だろうと笑いかける。 「先生…?」 雪田の真意が掴めない晴美は、雪田を見上げながら、何が言いたいのかと問い…

禁区ー40

「もう…君の主治医じゃいられないな…」 雪田の言葉を夢の終わりと感じ取った晴美に、雪田はさらに晴美の主治医ではいられなくなったなと呟く。 「これは…夢です…夢ですから…そんな事…言わないでください…」 晴美の主治医ではいられなくなったと言う雪田に、…

禁区ー39

「中途半端な気持ちで女性を抱いたりなんかしないよ…僕は…」 晴美のなぜ自分を抱いたかはわからないけれど、抱かれて嬉しかったという呟きに、雪田は中途半端な気持ちで女性を抱くような人間ではないと答える。 「でも…この先…どうする…?」 中途半端な気持…

禁区ー38

「亮治…さん…あのね…私…」 絶頂を迎え、息も途切れ途切れに身体を離した雪田に、晴美は自分が今まで愛のないセックスに溺れてしまっていたことを告げようと雪田を見る。 「何も言わなくていいよ…」 晴美が何を告げようとしているのかを察した雪田は、晴美を…

ご主人様と

ご主人様とメールで言い合い中です。 問題は、私のお金の管理を社会福祉協議会に委託するのかしないのか、恋人じゃないっていうからややこしくなってるって言ったら、恋人以上の事をしているという返事。 それを支援相談員さんや社会福祉協議会の人に説明し…

禁区ー37

軋むベッド…部屋に響き渡る晴美の甘い喘ぎ声…滴る汗…音を増す一部音… それらすべてが雪田を掻き立て、雪田をさらに狂わせていく。 自分が晴美の何なのか、そんな事などどうでもよかった。 ただ、晴美の甘い喘ぎ声に狂っていたかった。 晴美もまた自分が雪田…

禁区ー36

「亮治…さん…亮治…さん」 雪田の細やかな愛撫によって高められていく欲情に、晴美は自然と握りしめていたシーツから手を離し、雪田の背中に手を回し、今まで出したことのない甘い声で雪田の名を呼び続ける。 「そうだ…それでいいんだ…」 シーツから手を離し…

禁区ー35

「背中に手を回してもいいよ…」 自分の痕跡を残さないようにする…そんな晴美の癖を見抜いた雪田は、自分の背中に手を回しても構わない、痕跡を残しても構わないと晴美の耳元に囁きかける。 「それじゃ…亮治…さんが…困る…」 痕跡が残しても構わないと囁く雪田…

禁区ー34

「ベッドに…移る…か…?」 晴美同様、欲情を抑えきれなくなった雪田は、晴美にベッドで続きをしないかと晴美に囁きかける。 「じゃあ…行こう…」 自分の提案に無言で頷いた晴美を確かめた雪田は、晴美を抱き上げると、そのまま晴美をベッドへと運んでいく。 そ…

禁区ー33

「先生…」 「先生じゃないよ…亮治…だよ…」 自分の腕の中で自分をまだ先生呼ばわりする晴美に、今は亮治と呼ぶようにと晴美の耳元に囁く。 「亮治…さん…?」 「そうだ…決して偽名じゃないって…君も…わかるだろう…?」 今まで聞いたことが程に甘い声で自分の名…

禁区ー32

「先生がいいのなら…」 元の主治医としての自分に今は戻れないと言う雪田に、晴美は雪田がそれでいいのならそれでいいと呟く。 「槙田さん…」 「槙田さんじゃなくて…晴美…今夜はそう呼んでくれますか…?」 自分を本名の名字で呼ぶ雪田に、晴美は名字ではなく…

禁区ー31

「槙田さん…戻るなら今だよ…?」 晴美の狂ってもいいという返答に、雪田は晴美の顎に指を添えながら、本当に狂ってもいいのか…?後戻りするなら今だと晴美に問いかける。 「そういう先生こそ…戻れますか…?元の先生に…」 後戻りするなら今だと問いかける雪田…

ご主人様

告白します。 例の彼と称していた人は、私のご主人様です。 ご主人様と言っても、過激なプレイをするわけではありません。 精神的な繋がりの関係です。 そりゃ、多少はエッチしますが、過激ではありませんよ。 四国と関西で離れ暮らしているというのもあり、…

禁区ー30

「槙田さん…」 「はい…」 抱き寄せる力を弱め、自分を見つめてきた雪田に、晴美は何かが起きる前兆を感じながら雪田の方に向き直る。 今夜の雪田はいつもと違う…それなら自分もそれに従おうと…晴美は思っていた。 「もし…今夜の僕がおかしいのなら…君もおか…

禁区ー29

「今日の先生…やっぱり…おかしい…」 雪田に抱き寄せられた事に、晴美は少し驚きながらも、戸惑いを感じる事無く、雪田の胸の中に納まりながら、今夜の雪田はどこかおかしいと呟く。 「そうだな…おかしいのかもしれないな…君の言う夜の闇のせいかもかもしれな…

禁区ー28

「それを聞いて…先生…どうするの…?」 雪田の冷静さを失った口振りに、晴美は額に口付けられた事への思いを知ってどうするのかと雪田に問いかける。 「すまない…君を苦しめるつもりはなかったんだ…」 気付かない振りしていたのにという晴美の表情に気付いた…

禁区ー27

「さっきの事って…何ですか…?」 先程の事をどう思っているかと雪田に訊かれた晴美は、それが雪田が自分の額に口付けたことだとわかっていながらも、わからないような口ぶりで、何の事かと問い返す。 ドキドキしたとか額が妙に熱くなったとか言えない…雪田は…

禁区ー26

「すみません…」 「だから、責めているわけじゃないって」 ふとこぼれた晴美の謝罪の言葉に、雪田は責めているわけじゃない、ただ嘘をつかないで欲しいと優しく笑いかける。 主治医として…?それはちょっと違う…どうして…嘘をついて欲しくないと思ったのだろ…

禁区ー25

「君はこういうところよく来るのか?」 「しょっちゅうってわけじゃないけど…来ます…」 雪田にラブホテルをよく利用するのかと訊かれた晴美は、頻繁ではないが、たまに来ると答える。 嘘…本当は頻繁に利用している…セックス依存症を見抜かれているとわかって…

禁区ー24

「まぁ…雨がやむまでだから」 ラブホテルの一室に晴美を連れてきた雪田は、晴美をソファーに座らせると、雨がやむまでだからと笑い、部屋の小さな窓から外を眺める。 「天気予報では朝まで降るって言ってましたよ…」 雨がやむまでと言う雪田に、晴美は天気予…

禁区ー23

「あ、雨…」 「雨降って来たな…走れる?」 「はい…」 煌々と光るネオンと夜の闇に加え、小雨が降りだしてきたことに気付いた二人は、雨を避けるように走り始め、一軒の建物に逃げ込むように入り込む。 「先生…ここって…」 「そうだな…」 建物に逃げ込んだは…

禁区ー22

「立ち話もなんだから行こうか?」 「そうですね…夜も更けてきた事ですし…」 煌々と光るネオンと夜の闇が雪田をそして自分を狂わせ始めていると感じた晴美は、立ち話もなんだからと言う雪田についていく。 「そういえば、寒くないの?その恰好」 歩き出した…

禁区ー21

「話って…何ですか…?それよりも…戻らなくていいんですか…?」 雪田が自分を追いかけてきたことへの戸惑いを隠しながら、晴美は雪田に夜の付き合いに戻らなくていいのかと問いかける。 「いいんだ。帰るところだったし」 晴美の問いに、雪田はどうせ夜の付き…

禁区ー20

「今日の先生…おかしい…飲み過ぎてるんじゃないですか…?」 病院の診察室で見せる雰囲気と似ているようでどこか違う雪田の雰囲気に、晴美は雪田に今夜の雪田はどこかおかしいから飲み過ぎているのではと呟く。 「大丈夫。付き合い程度でしか飲んでないから。…

禁区ー19

「ハァ…ハァ…逃げ足速いね…」 『?!』 走り疲れて立ち止った瞬間に聞こえてきた声に、晴美は驚かずにはいられなかった。驚きながらも恐る恐る振り返るとそこには肩で息をしながら雪田が立っていた。 「先生…?」 雪田が自分を追いかけてきた…なぜ…?晴美は…

禁区ー18

「待って」 家に帰ると立ち上がった晴美を引き留めた雪田は、晴美を慈しむように晴美の額に口付ける。 『?!』 雪田から額に口付けられた晴美は驚いた。 驚きで頭が真っ白になっていくと同時に今まで感じたことがないようなドキドキ感を感じていた。 この人…