禁区ー25

「君はこういうところよく来るのか?」


「しょっちゅうってわけじゃないけど…来ます…」


 雪田にラブホテルをよく利用するのかと訊かれた晴美は、頻繁ではないが、たまに来ると答える。

嘘…本当は頻繁に利用している…セックス依存症を見抜かれているとわかっていながらも、晴美は雪田に小さな嘘をつく。


「僕は病院の診察室での君しか知らない。だけど君の嘘はわかるよ」


「…」


「責めているわけじゃないんだ。ただ、どうして僕に嘘をつくの?」


 晴美の小さな嘘を見抜いた雪田は、小さな嘘を見抜かれて黙り込む晴美に、セックス依存症を責めているわけでもなく、ただ、なぜ自分にまで嘘をつくのかと問いかける。

患者は時に嘘をつく…わかりきっていることなのに…晴美に小さな嘘をつかれた雪田の胸に、冷静さを失ったような感情が渦巻く。