「統合失調症の治療なら他の医師でも大丈夫だろ?」
一夜の関係にはもう慣れっこだと笑う晴美に、雪田は統合失調症の治療なら他の医師でも大丈夫だろうと笑いかける。
「先生…?」
雪田の真意が掴めない晴美は、雪田を見上げながら、何が言いたいのかと問いかける。
雪田に捨てられる…捨てられるという表現はおかしいが、主治医を変えた方がいいと言う雪田に、晴美は今夜の事は忘れるから雪田も忘れてほしいと言い続ける。
「忘れられるわけないじゃないか…自分の好きな人との事を…」
自分から身体を離し、服を拾い上げる晴美の背中を抱き締めながら、雪田は自分が好きになった人と起きた出来事を忘れられる訳がないじゃないかと呟く。
もう…元の主治医と患者には戻れない…戻りたくない…そんな思いが雪田の胸に過っていた。