禁区ー42

「ダメですよ…そんな事…言ったり…しちゃ…」


 自分の背中を抱き締めながら、愛の言葉とも思える言葉を呟く雪田に、晴美は自然と零れる涙を拭きながら、そういう事を言われたらその気になってしまうから言わないで欲しいと呟く。


「だから、中途半端な気持ちで女性を抱いたりしないって言っているだろ?」


 その気にさせないでと呟く晴美に、雪田は晴美を慈しむように抱き締めながら、晴美を抱いたのは中途半端な気持ちではなかったと笑いかける。


「でも…」


「でもじゃない」


 雪田の真意を知って戸惑い、子供のように泣きじゃくる晴美を、雪田はなおも抱き締めながら、晴美の涙を拭いつづける。雪田の心は決まった…晴美がいいと言うのなら、どこまでも堕ちていこうと。