禁区ー28

「それを聞いて…先生…どうするの…?」


 雪田の冷静さを失った口振りに、晴美は額に口付けられた事への思いを知ってどうするのかと雪田に問いかける。


「すまない…君を苦しめるつもりはなかったんだ…」


 気付かない振りしていたのにという晴美の表情に気付いた雪田は、冷静さを取り戻すように晴美を苦しめるつもりは一切なかったのだと呟く。


「謝らないでください…謝られると…私が悪い事したみたいで…嫌です…」


 自分の気持ちを察したかのように謝る雪田に、晴美は謝られると自分が悪いことしているみたいで嫌だと呟く。

あれは夜の闇のせい…居慣れない夜の闇に酔っただけなのと雪田に告げる。

その晴美の言葉に、雪田は、意外に大人な発言をするねと笑い、晴美を慈しむように抱き寄せる。

抱き寄せられた晴美は、何も言わず、雪田の胸の中に納まり続ける。