禁区ー44

 雪田と晴美は、あれから週に二日程度の割合で逢瀬を重ねている。

主治医と患者の時よりは顔を合わせてはいるが、不倫とはいえ、恋愛関係になったなら少ないと考えてしまうのは恋心というものだろう。


「あれから、僕に会えないからって危ない遊びしてないだろうね…?」


一糸纏わぬ姿をシーツで隠す晴美に、雪田は自分と会えないからといって、また行きずりの相手と関係を結んだりしていないだろうなと問いかける。


「してないです…亮治さんがいるのに…」


 雪田の問いかけに、晴美は一糸纏わぬ自分の身体をさらに隠すようにシーツに包まると、雪田に擦り寄りながら、雪田との関係があるのにそんな真似はしていないと答える。


まるで猫のように甘える晴美に、愛おしさを感じた雪田は、愛おしさを込めて抱き締めると、愛おしさを込めた口付けをする。嘘はみんな見抜けるからねと笑った後に。