禁区ー29

「今日の先生…やっぱり…おかしい…」


 雪田に抱き寄せられた事に、晴美は少し驚きながらも、戸惑いを感じる事無く、雪田の胸の中に納まりながら、今夜の雪田はどこかおかしいと呟く。


「そうだな…おかしいのかもしれないな…君の言う夜の闇のせいかもかもしれないな…」


 自分の胸の中に納まりながら、今夜の雪田はやはりおかしいと呟く晴美に、雪田はやはり今夜の自分はどこかおかしいのかもしれない、晴美の言う夜の闇のせいなのかもしれないと答えながら、晴美を抱き寄せる力を強める。


「先生…」


 抱き寄せられる力を強められ、さらに雪田の温もりを感じた晴美は、今までの行きずりの恋とは違う何かを雪田に感じ取るように、雪田を呼ぶ。

ラブホテルという空間が自分たちを狂わせているのだと思うように、晴美は雪田の胸の中に納まり続ける。