「もう…君の主治医じゃいられないな…」
雪田の言葉を夢の終わりと感じ取った晴美に、雪田はさらに晴美の主治医ではいられなくなったなと呟く。
「これは…夢です…夢ですから…そんな事…言わないでください…」
晴美の主治医ではいられなくなったと言う雪田に、晴美は今夜の事は夢…夜の闇が作った夢だから主治医をやめるなどと言わないで欲しいと呟く。
「どうして戻れる…?こんな事になって…」
主治医をやめるなんて言わないでくれと言う晴美に、雪田はさらに晴美を抱き寄せながら、こういう事になってどうして元の関係に戻れるのかと問いかける。
雪田も今まで築いた家庭を壊す気はない。壊す気はないが、晴美と家庭を天秤にかけるつもりもない。
図らずも晴美を抱いてしまった事に、雪田の心は揺れ動いていた。雷鳴を含みながら降っていた雨はすっかりやんでいた。