2015-01-29から1日間の記事一覧

禁区ー33

「先生…」 「先生じゃないよ…亮治…だよ…」 自分の腕の中で自分をまだ先生呼ばわりする晴美に、今は亮治と呼ぶようにと晴美の耳元に囁く。 「亮治…さん…?」 「そうだ…決して偽名じゃないって…君も…わかるだろう…?」 今まで聞いたことが程に甘い声で自分の名…

禁区ー32

「先生がいいのなら…」 元の主治医としての自分に今は戻れないと言う雪田に、晴美は雪田がそれでいいのならそれでいいと呟く。 「槙田さん…」 「槙田さんじゃなくて…晴美…今夜はそう呼んでくれますか…?」 自分を本名の名字で呼ぶ雪田に、晴美は名字ではなく…

禁区ー31

「槙田さん…戻るなら今だよ…?」 晴美の狂ってもいいという返答に、雪田は晴美の顎に指を添えながら、本当に狂ってもいいのか…?後戻りするなら今だと晴美に問いかける。 「そういう先生こそ…戻れますか…?元の先生に…」 後戻りするなら今だと問いかける雪田…

ご主人様

告白します。 例の彼と称していた人は、私のご主人様です。 ご主人様と言っても、過激なプレイをするわけではありません。 精神的な繋がりの関係です。 そりゃ、多少はエッチしますが、過激ではありませんよ。 四国と関西で離れ暮らしているというのもあり、…

禁区ー30

「槙田さん…」 「はい…」 抱き寄せる力を弱め、自分を見つめてきた雪田に、晴美は何かが起きる前兆を感じながら雪田の方に向き直る。 今夜の雪田はいつもと違う…それなら自分もそれに従おうと…晴美は思っていた。 「もし…今夜の僕がおかしいのなら…君もおか…

禁区ー29

「今日の先生…やっぱり…おかしい…」 雪田に抱き寄せられた事に、晴美は少し驚きながらも、戸惑いを感じる事無く、雪田の胸の中に納まりながら、今夜の雪田はどこかおかしいと呟く。 「そうだな…おかしいのかもしれないな…君の言う夜の闇のせいかもかもしれな…

禁区ー28

「それを聞いて…先生…どうするの…?」 雪田の冷静さを失った口振りに、晴美は額に口付けられた事への思いを知ってどうするのかと雪田に問いかける。 「すまない…君を苦しめるつもりはなかったんだ…」 気付かない振りしていたのにという晴美の表情に気付いた…

禁区ー27

「さっきの事って…何ですか…?」 先程の事をどう思っているかと雪田に訊かれた晴美は、それが雪田が自分の額に口付けたことだとわかっていながらも、わからないような口ぶりで、何の事かと問い返す。 ドキドキしたとか額が妙に熱くなったとか言えない…雪田は…

禁区ー26

「すみません…」 「だから、責めているわけじゃないって」 ふとこぼれた晴美の謝罪の言葉に、雪田は責めているわけじゃない、ただ嘘をつかないで欲しいと優しく笑いかける。 主治医として…?それはちょっと違う…どうして…嘘をついて欲しくないと思ったのだろ…