「立ち話もなんだから行こうか?」
「そうですね…夜も更けてきた事ですし…」
煌々と光るネオンと夜の闇が雪田をそして自分を狂わせ始めていると感じた晴美は、立ち話もなんだからと言う雪田についていく。
「そういえば、寒くないの?その恰好」
歩き出したはいいが、額に口付けたことをどう切り出していいかわからない雪田は、晴美の病院の診察では見ない晴美の服装をチラチラ見ながら寒くないのかと声を掛ける。
「大丈夫です…着慣れていますので…」
露出度の高い服で寒くないのかと雪田に訊ねられた晴美は、着慣れているから寒くないと答える。
「くしゅん」
「ほら、やっぱり寒いんだ」
冬の訪れを感じるような冷たい風に、思わずくしゃみをした晴美に、雪田は晴美に笑いかけながら自分の上着を晴美にかけてやる。
なぜ自分がそうするのかわからないままに。