「ハァ…ハァ…逃げ足速いね…」
『?!』
走り疲れて立ち止った瞬間に聞こえてきた声に、晴美は驚かずにはいられなかった。驚きながらも恐る恐る振り返るとそこには肩で息をしながら雪田が立っていた。
「先生…?」
雪田が自分を追いかけてきた…なぜ…?晴美は雪田が自分を追いかけてきた事に驚きながらも、ゆっくりと雪田に歩み寄る。
「さっきの話の続きしようか?」
息を整えた雪田は、ゆっくりと自分に歩み寄ってくる晴美に、先程の話の続きをしようと声を掛ける。
「話すことなんて…何もありません…」
自分に歩み寄りながら話の続きをしようと声を掛けてきた雪田に、なぜ雪田はこんなに自分に構うのだろうと思った晴美は、話すことなど何もないはずだろうと返す。外は冬の訪れを告げるような風が吹いていた。