2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

白い闇あとがき

『白い闇』お楽しみいただけたでしょうか? 凌辱的描写が多すぎて変態だなって思われたと思います。 官能小説の難しさを実感した作品です。 本当に…官能小説って難しいですね… 目指せ!官能小説家なんですけど、きちんとした官能小説を書いたためしがない… …

白い闇ー48

「あっ…んっ…はぁっ…」 何度繰り返されたかわからない源太との交わりの中で、碧は、心が高まる交合がある事をさらに知っていく。 「碧さん…本当に…綺麗だ…」 全身を桜色に染めて、自分の拙い愛撫に、艶やかな声を漏らし続ける碧の耳元に、源太は、綺麗だと囁…

白い闇ー47

碧と雅彦の離婚成立から半年後… 「碧さん…希望の光の先はどうだい…?」 「眩しくて見えないくらいだわ…」 源太に、希望の光の先にある風景はどんな感じなのかと訊ねられた碧は、希望の光の先は、眩しくて見えないと答える。 「碧さん…いきなりですが…僕と結…

白い闇ー46

源太もまた碧と同じように、心が高まる交合がある事を知り、かつてない高揚感を覚えていた。 碧を包んでいた絶望という名の白い闇は消え、代わりに眩しくて見えない闇が碧と源太を包み、碧と源太は、その眩しくて見えない闇の中へと堕ちていく。 絶望という…

白い闇ー45

「碧さん…」 暗闇の中でも映える肌をした碧を抱き寄せた源太は、切なげにそして恋し気に碧の名を呼ぶ。 「ごめんなさい…まだ…心が追いつかないわ…」 源太に抱き寄せられながら、碧は、こんな風に肌を晒すのは初めての事だから、もう少し待って欲しいと源太に…

白い闇ー44

「須本君…本当に…ありがとう…」 「いいえ…ひとえに碧さんの勇気のおかげです…」 強姦罪が成立した事で、離婚も素早くできた事を喜び、全てを支えてくれた礼を述べる碧に、源太は、首を横に振りながら、自分ができた事は僅かな事で、ひとえに碧が勇気を振り絞…

白い闇ー43

そして…碧の名での告訴は受け入れられ、裁判が始まる…。 この場はまず碧と雅彦との間での強姦罪を成立させる事が先決だ…碧を羞恥の場に晒す事にもなるが、碧以外の証言者など居るはずがないこの裁判に、源太は、せめて碧の勇気をもたらす希望の存在になれる…

白い闇ー42

源太に手を取られ、旅立った碧を、町中で探し、これは駆け落ちだと騒ぎ始めた頃には、源太の行動は先を読んでいた。 「碧さん…これが…告訴状です…強姦罪を成立させるためには…いままでの夫婦生活を洗いざらい明かす必要があります…大丈夫ですね…?」 「えぇ……

白い闇ー41

源太に手を取られた碧は、離れていく住み慣れた邸宅、そして町の風景が水墨画のように霞んでいくのを感じる。 「ねぇ…これって…駆け落ち…かしら…?」 「そう言う人もいるでしょうね…」 源太に救い出してもらえた喜びを隠すように、これは駆け落ちなのかと訊…

白い闇ー40

碧の住むかつて自分が住んでいた町に降り立った源太は、真っ先に、碧と雅彦が暮らす邸宅へとひた走る。 碧を雅彦の狂気から救い出せるだけの力を備え付けられた…後は、碧をこの手で奪う事だけ…希望と言ってくれた碧に応える為にも、源太は碧を一刻も早くこの…

白い闇ー39

それから…源太は弁護士としてのスキルを上げるために、懸命に働いた。 法で縛られている碧を救い出せるのは、やはり、法でしかないとばかりに、源太は弁護士としてのスキルを上げていくために、そして、碧を救い出すために懸命に働いた。 「(どこかに…ある…

白い闇ー38

「碧さん…」 碧から発せられた言葉に、源太は、驚きを隠せずにいた。 あの頃、雅彦の狂気から逃げられないと告げた碧が、いま、自分に救いを求めている…だが、まだ、いまの自分では碧を雅彦の狂気の中から救い出せるだけの力は備わりきっていない。 「あと少…

白い闇ー37

それから…数年後… 相変わらず碧は、雅彦の狂気の中にいた。 ただ一つ違うのは…源太が大人になった事…時期はまだ来ていないが、碧を雅彦の狂気から救えるだけの力が備わり始めたという事… 高校の同窓会が開かれ、碧と源太は数年ぶりに再会を果たす。 「久しぶ…

白い闇ー36

「おはよう。根本さん。根本先生」 自転車を軽快に漕ぐ生徒たちは、仲睦まじげに歩く碧と雅彦に挨拶を交わす。 「おはよう」 それらの声に、雅彦はにこやかに笑いながら、答えていく。 碧が無言で歩いている事など、誰も気に留めなかった。 しかし、それに気…

白い闇ー35

「お帰り…碧…」 全てを知っていながら、知らないような声を掛ける雅彦に、碧は、雅彦の横をすり抜け、浴室へと向かう。 「自分の夫を無視するほどの事があったのかい…?」 「何も…ありません…」 碧の夫である事を主張する雅彦に、碧は、何もないと答える。 …

白い闇ー34

源太が知った碧を包む白い闇…絶望という名の白い闇… 「僕は…やっぱり…君の希望でありたい…」 「なら…このまま…立ち去って…あの人に気付かれないうちに…」 碧の希望でありたいという源太に、碧は、それならば、雅彦に見つからないうちに立ち去って欲しいと呟…

白い闇ー33

そして…日曜日…源太は碧が来ないとわかっていながらも、あの滝で、碧を待ち続ける。 「須本君…?」 「碧さん…?」 来ないと思っていた碧が現れた事で、源太は驚きを隠せなかったが、碧に、以前と変わらない笑顔を浮かべる。 「どうして…来たの…?」 「僕は……

白い闇ー32

「ねぇ…母さん…この町で一番古い人って誰…?」 家に帰った源太は、母の明子に、この町で一番古い人間は誰かと訊ねる。 「そうねぇ…三丁目のトメさんっていうおばあさんかしら…?」 源太の問いに、明子は、一瞬考えた後、三丁目に住むトメという老婆が一番古…

白い闇ー31

「転校生の須本君」 絶望に満ちた源太の心を嘲笑うかのように、浜本が陽気に声を掛ける。 「いい加減…転校生は…やめてくれよ…」 源太が絶望の淵に追いやられているとは知らない浜本の陽気な声に、源太は、もう転校生呼ばわりはやめて欲しいと呟く。 「聞いた…

白い闇ー30

「あっ…やっ…はぁっ…」 雅彦の冷たい愛撫に、碧の躰は、慣れ親しんだように反応し、碧は、蹂躙される事を受け入れるかのような声で啼き続ける。 「碧…今日は…やけに…いい声で啼くな…?面白くなってくるじゃないか…」 碧の薔薇色に染まった肌を辿りながら、雅…

白い闇ー29

「碧…お前が希望を抱く度に…俺は…それを絶望へと変えてきた…今度も…そうなるのかな…?」 「やめて…もうこれ以上は…」 碧の抱いた希望を常に打ち砕いてきた雅彦の狂気に、碧は、もうこれ以上、自分の希望を打ち砕く真似はしないで欲しいと嘆願する。 いままで…

白い闇ー28

「また…ずぶ濡れだな…碧…」 源太とまたこの滝で会おうと約束し合い、別れて、家に戻って来た碧に、雅彦は、日曜日になるとずぶ濡れになって帰ってくるなと冷たく問いかける。 「身体を清めているだけです…」 雅彦の問いに、碧は、身体を清めに行っているだけ…

白い闇ー27

「でもね…私と根本先生は…」 「逃げられないの…?根本先生から…」 雅彦の狂気から逃げる事はできないと言おうとした碧の言葉を遮るように、源太は、碧に、なぜ、雅彦の狂気から逃れられないのかと問いかける。 「そうね…どうしてかしら…?」 源太の言葉に、…

白い闇ー26

「碧さん」 碧と滝で会おうと約束した次の日曜日…源太は碧の姿を見つけ、零れんばかりの笑顔を浮かべる。 「須本君…」 まだ汚れを知らない少年そのままの笑顔を浮かべる源太に、碧は、自分の汚れきった身体を清めたいとばかりに滝へと飛び込む。 「そんなに……

白い闇ー25

その夜の雅彦は、いつも以上に冷たく、しかし、どこか情熱を帯びていて、その反比例する雅彦の狂気に、碧は惑わされていくのを感じる。 いつもと同じ光景のようで、どこか違う光景…碧は、雅彦の狂気に飲み込まれていく自分を感じずにはいられなかった。 なぜ…

白い闇-24

「お帰り…碧…」 源太と別れ、絶望に満ちた家に帰ってきた碧に、雅彦は冷たくお帰りと声を掛ける。 その冷たい声に、碧の全身はビクッとなり、その場に崩れ落ちないだけでも、碧は自分の精神力の強さを褒めたくなった。 「どこに行っていた…?」 「私にだって…

白い闇ー23

滝に打たれる事数分…そろそろ限界が来た源太は、碧に滝から出ようと声を掛け、碧もその声に導かれるように滝から出る。 「根本先生に…何をされているの…?」 「世の中…知らずに済めばいい事もあるわ…」 町中が隠す碧と雅彦の秘密に、初めて立ち入ってきた源…

白い闇ー22

「碧さん…何か…悩んでない…?」 「えっ…?どうして…?」 碧が見せる陰がある表情が気になった源太は、思い切って何か悩んでいないかと訊ね、訊ねられた碧は、どうしてそう思うのかと問い返す。 「なんか…気になっただけ…何もないなら…いいんだ…」 碧の問い返…

白い闇ー21

「根本…さん…」 「碧で構わないわ…」 滝に打たれる自分を他人行儀で呼ぶ源太に、碧は、碧と呼んでくれても構わないと答える。 「じゃあ…碧…さん…どうして…滝に打たれてるの…?」 「さっきも言ったじゃない…濡れたい気分だって…」 たどたどしく碧の名を呼びな…

白い闇ー20

この町に引っ越して来て初めての日曜日。 源太は、初めて碧と出会った滝へと足を運んでいた。 幻を見たかのように美しかった碧…儚げで触れる事もできない程に美しかった碧…もう一度この滝で会えたならと思って来たけれど、滝に碧の姿はなく、源太は嘆息を吐…