2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

禁区ー17

「あんなことしていると、そのうちいらない病気もらっちゃうよ?」 「…」 晴美が見知らぬ異性と行きずりの関係という危ない遊びに没頭していたということを知った雪田は、ただ黙って隣に座り続ける晴美にこういう危ない遊びはよすようにと諭す。 雪田の優し…

禁区ー16

「ここに座りなさい」 「…」 険しい表情と厳しい口調を崩さないまま晴美を繁華街の一角にある公園に連れてきた雪田は、晴美にその公園のベンチに座るように促す。 険しい表情を浮かべたまま自分に公園のベンチに座るよう促す雪田に、晴美は説教なら聞きたく…

禁区ー15

「それじゃあ…先生」 「待ちなさい」 『え?』 セックス依存症を知られた気まずさから帰ろうとする晴美を、雪田は晴美の手を掴み引き留める。 雪田に手を掴まれ、引き留められた晴美はただ驚く。 「ちょっとこっちに来なさい」 「え?何ですか?」 「いいか…

禁区ー14

「あの…ありがとうございました…」 「いえいえ」 セックス依存症が知られてしまったと思いながらも、とりあえず助け舟を出してくれたことの礼を述べる晴美に、雪田は礼には及ばないとばかりに笑いかける。 「じゃあ…私…帰ります…」 「待ち合わせはいいの?」…

禁区ー13

『この人と行くべきなんだけど…でも…行きたくない…』 普段ならこのままかつて名乗った偽名を名乗って行きずりの恋を楽しんだこの男についていくのだが、雪田がそばにいるせいか、晴美はなぜかその男の方に足を向けることできずにいた。 「今日のめぐみちゃん…

禁区ー12

「じゃあ…私はこれで…」 思わぬ場所で雪田に会った気まずさに、晴美はこの場は立ち去った方が得策だと思い、その場を立ち去ろうとする。 「待ち合わせは?」 「ちょっとお手洗いに行くだけです」 待ち合わせ場所を離れていいのかという雪田の言葉に、またも…

禁区ー11

「ここ、夜の繁華街だよ?」 「そうですね」 「本当に待ち合わせ?」 「待ち合わせです」 核心を衝くような雪田の問いに、行きずりの恋の相手を探していたとは口が裂けても言えない晴美は、必死にただの待ち合わせだという嘘を繰り返す。 「そういう先生こそ…

禁区ー10

『先生にもまだ言っていないこと…まだあるしなぁ…』 雪田との初めての診察を終えた半年後、晴美は夜の繁華街に佇みながら、雪田にも言っていない秘密に思いを馳せていた。 晴美が夜の繁華街に居るのに大した理由などない。 そう…行きずりの恋の相手探し…やめ…

禁区ー9

ピンポーン 『あ、あたしだ』 診察の順番を告げる音に、掲示板を見た晴美は自分の順番が回って来たこと知り、看護師に案内された扉へと向かう。 その時、晴美は緊張と同時に興奮も覚えていた。 またあの精神科医に会える…そんな思いが晴美に緊張と興奮を覚え…

禁区ー8

『やっとたどり着いたぁ』 そのまた後日、雪田の勤務する病院を訪れた晴美の最初の感想はそれだった。 そこまで街外れではないし、自宅から近いですよと言われていたが、晴美はかなりの方向音痴で道に迷ったのだ。 何とか診察受付時間に間に合いはしたが、た…

禁区ー7

『雪田先生…っていうのか…』 再び保健所を訪れ、こころの相談を勧めてきた保健師に経緯を話し、あの髭面で恰幅のいい精神科医の勤務先と名前を教えてもらった晴美は、その髭面で恰幅のいい精神科医の雰囲気とは真逆の名前だなと思っていた。 『返答はどうな…

禁区ー6

『あの先生に会いたいな…』 自分を鼓舞する一方、ふと疲れを感じた晴美の脳裏に、保健所で出会ったあの精神科医の顔が過った。 この部屋も引っ越すし、仕事も変えるのだから主治医を変えるのも悪くないと考えていた。 しかし、どこの病院に勤務している何と…

神様ぁ~

創作小説・禁区のUPの途中ですが、ストックの話が出てきません。 頭ではシーンは想像できるのですが、文章になりません。 神様ぁ~!お話を出してぇ~!って気分です。 降ってくる時は降ってくるのですが、中々最近降ってこない。 読んでくれる人がいるから…

禁区ー5

職場の上司との不倫関係の終焉は突然やってきた。 上司の妻が職場に乗り込んできたのだ。 ふっくらと膨らんだお腹に、晴美はショックを覚えずにはいられなかった。 割り切った関係だったとはいえ、彼の二重生活にショックを覚えずにはいられなかった。 自分…

禁区ー4

『あの先生は無理なのかぁ…』 保健所からもらった冊子を読みながら、晴美は平日仕事をしているなら自分は無理だというあの精神科医の言葉に、晴美はあの精神科医に診てもらえないことに少し残念な思いを感じていた。 残念な思いと同時にあの精神科医にもう一…

禁区ー3

『この人は!』 案内係に通された病院の診察室にも似た部屋の中にいた精神科医と思われる男性に一瞬にして心を奪われた。心を奪われたといっても、恋愛感情ではない。すべてを受け入れてくれそうな雰囲気に心を奪われたのだ。 『やっぱり言えなかった…』 自…

禁区ー2

晴美がセックス依存症に陥った理由は、中学時代にコロコロと変わる母親の愛人の一人に性的虐待を受けていたせいだ。 勇気を持って母親に打ち明けたが、現実を受け入れられない母親から返ってきたのは、汚らしいばかりの罵倒だった。 それから母親とも距離を…

禁区ー1

出逢いは真昼の診察室だった。診察室といっても病院の診察室ではない。とある街にあるとある保健所の診察室にも似た部屋だ。 不定愁訴を訴えた晴美は、保健師の勧めで保健所が主催するこころの相談に訪れていた。 「どうせ気休め程度の事しか言われないのだ…

暇つぶしにどうぞ

暇つぶしに、初めて書いた小説をUPします。 小説と言えるかわからない作品ですが、暇つぶしに読んでください。 タイトルは「禁区」です。 1ページの文字数が少ないので、長いですが、読んでいただけたら幸いです。

砂漠の薔薇あとがき

砂漠の薔薇いかがでしたか? 一部凌辱的描写があったので、受け入れてもらえるか不安でしたが、たくさんの人読んでもらえてよかったです。 シンデレラストーリーみたいだというコメントがあったのですが、これもシンデレラストーリーですかね? 無駄長かった…

砂漠の薔薇ー45

時間にすれば短いけれど、濃密で満ち足りた時間に、アスランと凛子は、荒い呼吸もそのままに、互いを抱き締め合い、深く口付け合う。 「リンコ…よかったか…?」 「はい…こんなに…満ち足りた気分になれるのは…アスラン様とだけです…」 自分の愛し方に満足して…

砂漠の薔薇ー44

「リンコ…今宵も…そなたを…愛してもよいか…?」 「アスラン様の…お心のままに…」 凛子を抱き寄せながら、今夜も凛子を愛してもいいかと問いかけるアスランに、凛子は、アスランの吐息を感じながら、アスランの心のままにと答える。 「リンコ…私の…リンコ…」 …

砂漠の薔薇ー43

「とにかく…いまは…身体を大事にね…」 「はい…ご生母様…」 とにかく今は、身体を大事にするようにとサリーに声を掛けられた凛子は、いまは身体を大事にすると答える。 「あなたの国は…王の生母を大事にするの…?」 「はい…かつては…将軍と呼ばれた政治を行う…

砂漠の薔薇ー42

「ご生母様…」 「ハレムの女たちはみんな知っているわ…あなたが…アスランに求められたのが昨夜だけではない事は…」 サリーの言葉に驚く凛子に、サリーは、アスランが凛子を求めたのが昨夜一回きりではない事を、ハレムの女たちはみんな知っていると笑いかけ…

砂漠の薔薇ー41

翌朝…正式にハレムの一員となった凛子は、このハレムで一番の権力を持つサルタンの生母、つまり、アスランの実母のもとを訪れる。 「よくいらっしゃいました…あなたが…リンコね…?」 得体も知れないはずの東洋の娘である凛子に、アスランの母、サリーはにこ…

砂漠の薔薇ー40

「アスラン様…私は…この子が…男子でも…この子に愛情を注ぎます…」 アスランから告げられたこの国の現実に、凛子は、震えながらも、アスランに、もし生まれてくる子が男子であっても、愛情を込めて育てると告げる。 「リンコ…掟の前では…無力な私を許してくれ…

砂漠の薔薇ー39

「あっ…んっ…アスラン…様…もう…だめっ…」 アスランの律動を感じ、高ぶりに高ぶった凛子は、アスランに絶頂を知らせる。 「いいぞ…達しても…私も…限界だ…」 絶頂に達し、自身を締め付けてくる凛子を感じたアスランは、凛子に達してもいいと囁くと、少しだけ律…

砂漠の薔薇ー38

「しかし…リンコに…私の子が…」 凛子が自分の子を孕んだ事実に、アスランは、喜びを隠しきれなかった。 「アスラン様…無体な真似は…」 「わかっておる…優しくする…」 大事な時期だから激しく抱かないで欲しいという凛子に、アスランは、わかっていると笑い、…

砂漠の薔薇ー37

「リンコ…?それは…どういう意味だ…?」 もしもうすでにアスランの子を孕んでいたとしたらどうするのかと、意味深に笑う凛子に、アスランは、凛子の真意が読み取れないとばかりに凛子を見る。 「言葉をそのまま受け取ればいいのです…決まりには反しているか…

砂漠の薔薇ー36

そして…夜になった… 綺麗に身を清め、アスランが来るのを待つ凛子は、アスランに告げねばならない事実に、頬が綻んでいくのがわかった。 初夜をやり直すにあたり、医師に診てもらった際にわかった事実に、凛子の頬が自然と綻んでいく。 「リンコ…」 ハレムに…