「待って」
家に帰ると立ち上がった晴美を引き留めた雪田は、晴美を慈しむように晴美の額に口付ける。
『?!』
雪田から額に口付けられた晴美は驚いた。
驚きで頭が真っ白になっていくと同時に今まで感じたことがないようなドキドキ感を感じていた。
この人は自分の主治医…その主治医に…そして…このドキドキ感は何だろう…?頭が真っ白になった晴美は、引き留める雪田の声に立ち止まることなく公園から走り去り、夜の繁華街を走り続ける。
雪田はなぜ自分の額に口付けたのだろう…?
そして…なぜ…自分はこんなにドキドキしているのだろう…?
キスなんて当たり前…それ以上のことを平気でしてきた…なのに…しかも額が妙に熱い…
恋愛感情も何も抱いてはいないはずの雪田からされた行為に、晴美はかつてないほどのドキドキ感を抱く自分が信じられずにいた。