それから…数年後…
相変わらず碧は、雅彦の狂気の中にいた。
ただ一つ違うのは…源太が大人になった事…時期はまだ来ていないが、碧を雅彦の狂気から救えるだけの力が備わり始めたという事…
高校の同窓会が開かれ、碧と源太は数年ぶりに再会を果たす。
「久しぶり…元気だった…?」
「えぇ…あなたこそ…見違えたわね…」
何気ない会話から始まった再会の時、碧は、大人の男性へと変貌を遂げた源太に、あの日見出した希望の日が近付いてきている事を感じずにはいられなかった。
「碧さんは…まだやっぱり…」
「その先は言わないで…」
碧がまだ根本を名乗っている事で、源太はまだ碧が雅彦の狂気の中で過ごしている事を知り、その雰囲気に気付いた碧は、その先は言わないで欲しいと源太に呟く。
「この滝…変わってないね…」
「えぇ…あなたと初めて会った時から…この町は何も変わっていないわ…」
碧と初めて会った滝を碧と訪れた源太は、全く滝の様子が変わっていないと呟き、その呟きを受けた碧は、源太と初めて会った時からこの町は何も変わっていないと答える。
「碧さん…僕は…あの頃の…何もできなかった僕じゃない…」
遠くを見つめる碧に、源太は、碧に会った時には絶対に言っておこうと思っていた言葉を碧に投げかける。
「そうね…いまなら…言えるかもしれない…須本君…私を助けて…根本の狂気から…」
源太から投げ掛けられた言葉に、碧は、そうねと呟いた後、自分を雅彦の狂気から救い出して欲しいと源太に告げる。