白い闇ー45

「碧さん…」


 暗闇の中でも映える肌をした碧を抱き寄せた源太は、切なげにそして恋し気に碧の名を呼ぶ。


「ごめんなさい…まだ…心が追いつかないわ…」


源太に抱き寄せられながら、碧は、こんな風に肌を晒すのは初めての事だから、もう少し待って欲しいと源太に告げる。


「大丈夫ですよ…もう何年も待っていたんです…まだ待てます…」


 碧の戸惑いを感じた源太は、もう何年も待っていたのだから、碧の戸惑いが消えるまで待てると呟く。


「須本君…」


「源太って呼んでください…」


 この場に及んで他人行儀な呼び方をする碧に、源太は、もう源太って呼んでくれてもいいのだと囁く。


「源太…君…」


「君は余計ですが…いいですよ…」


 たどたどしく源太君と呼ぶ碧に、君付けは余計だが、源太と呼んでくれて嬉しいと返す。


その時、視線が合わさり、吸い寄せられるままに、碧と源太は唇を重ねる。


その先に、碧の戸惑いはなくなっていた…凌辱ではない時に、碧の躰は、源太の愛撫に打ち震え、胸に咲く花が増えていくにつれ、碧は、源太の拙くも熱い愛撫に、かつてない高揚感を覚えていた。


「(これが…本当の…女の…悦びなの…?)」


 全身を駆け巡るかつてない高揚感に、心が高まる交合がある事を知った碧は、これこそが女性の喜びで、雅彦に仕込まれて知っていたはずの悦楽の波とは違う波の中へと飲み込まれていくのを感じずにはいられなかった。