白い闇ー30

「あっ…やっ…はぁっ…」


 雅彦の冷たい愛撫に、碧の躰は、慣れ親しんだように反応し、碧は、蹂躙される事を受け入れるかのような声で啼き続ける。


「碧…今日は…やけに…いい声で啼くな…?面白くなってくるじゃないか…」


 碧の薔薇色に染まった肌を辿りながら、雅彦は、いつもと同じようでいつもと違う碧の啼き声に、満足そうに笑うと、碧に面白くなってきたと冷たく囁きかける。


僅かな希望を守りたい碧と碧が完全に自分を受け入れたと思った雅彦の思いは交錯して、夜が更けていく。


 碧が艶やかに啼けば啼くほど、雅彦の狂気は高まり、碧をさらに蹂躙していく。


僅かな希望を守るため、碧は、雅彦の狂気に満ちた蹂躙を受け入れ、雅彦によって教え込まれた悦楽の波の中へと堕ちていく。


「碧…お前は…俺の物だ…逃げようなんて…二度と思うなよ…」


「…」


 瞳に何も映せない程に、雅彦の狂気に蹂躙され続けた碧に、雅彦は、碧の頬を撫で上げながら、もう二度と自分から逃れようと思うなと冷たく言い放ち、言い放たれた碧は、その声を遠くに聞いていた。


逃れようとすればするほどに追いかけてくる白い闇…碧は、源太に希望を抱きながらも、雅彦が与えてくる絶望という名の白い闇から逃れられない事を実感せずにはいられなかった。


 翌日…雅彦と共に登校する碧を源太は見つけたが、碧が視線を合わさない事で、源太は、碧がまた絶望の中へと堕ちてしまった事を感じる。


碧は、もう、あの滝には来ない…どうして自分には碧を救えるだけの力がないのだろう…?


どうして…自分は碧の希望になれなかったのだろうという思いが、源太の胸を過る。


源太という希望を守るために、雅彦の与える絶望に堕ちた碧を知る由もない源太は、絶望に堕ちた碧の姿をただ見つめるしかできる術はなかった。