「碧…お前が希望を抱く度に…俺は…それを絶望へと変えてきた…今度も…そうなるのかな…?」
「やめて…もうこれ以上は…」
碧の抱いた希望を常に打ち砕いてきた雅彦の狂気に、碧は、もうこれ以上、自分の希望を打ち砕く真似はしないで欲しいと嘆願する。
いままで抱いた希望はこの町の人間…でも…源太は違う…この町を何も知らない源太を絶望に引きずり込むような事はしないで欲しいと嘆願する。
「俺から逃げられないって…いつも言っているだろう…?」
「わかって…ます…だから…逃げなかったじゃないですか…」
自分から逃げられると思うなといつも言っていたじゃないかと冷たく笑う雅彦に、碧は、わかっているからこそいままで逃げなかったじゃないかと答える。
「希望はいい…絶望に変わる瞬間がたまらない…」
「やめて…彼を巻き込まないで…」
希望が絶望に変わる瞬間はたまらないと笑う雅彦に、碧は、源太を巻き込むような真似はしないで欲しいと嘆願し続ける。
「それは…碧…お前次第だ…」
いままでにない碧の嘆願を見た雅彦は、いまの希望が絶望に変わるかは、碧次第だと冷たく言い放つ。
「碧…答えは…わかっているな…?」
「はい…」
雅彦の冷たい眼差しに、碧は、首を縦に振るしか術はなく、雅彦の狂気の中に蹂躙されるしかなかった。
もう…あの滝には行けない…源太を絶望に晒すわけにはいかない…碧は、源太を希望としながら、その希望を守るために、源太と会う事を諦めるしかなかった。