「須本君…本当に…ありがとう…」
「いいえ…ひとえに碧さんの勇気のおかげです…」
強姦罪が成立した事で、離婚も素早くできた事を喜び、全てを支えてくれた礼を述べる碧に、源太は、首を横に振りながら、自分ができた事は僅かな事で、ひとえに碧が勇気を振り絞ってくれたからできた事なのだと答える。
「ううん…あなたが…最初に気付いてくれたから…私は…あなたに…希望を持てた…」
「碧さん…」
自分は何もしていないという源太に、碧は、源太が最初に気付いてくれたから、自分は源太に希望を持てたのだと呟き、その呟きを受けた源太は、ただ碧を見つめる。
「ずっと…あなたは…私の希望だった…絶望に満ちた時を過ごしていても…あなたが…私に希望の光をくれていたわ…」
自分を静かに見つめる源太に、碧は、自分にとって源太は常に希望であって、雅彦との絶望に満ちた時間を過ごしている時でも、源太が希望の光をくれていたから耐えてこられたのだと呟く。
「碧さん…僕は…あなたの事が…好きでした…あなたが…根本先生の妻だと知っても…あなたが…好きでした…」
碧の呟きに、源太は、ずっと碧が好きだった…碧が雅彦の妻である事を知っても、碧が好きだったと碧に告げる。
「過去形なのね…」
「違います…いまは…愛してます…」
碧に好きだったという過去形なのかと呟かれた源太は、慌てる事無く、いまは、碧の事を愛しているから、好きだったという表現を使っただけだと答える。
「愛してる…素敵な響きね…」
いまだ誰も自分に使った事のない言葉を源太に囁かれた碧は、素敵な響きだと笑う。