滝に打たれる事数分…そろそろ限界が来た源太は、碧に滝から出ようと声を掛け、碧もその声に導かれるように滝から出る。
「根本先生に…何をされているの…?」
「世の中…知らずに済めばいい事もあるわ…」
町中が隠す碧と雅彦の秘密に、初めて立ち入ってきた源太に、碧は、知らなくて済む事は知らなくてもいいと笑う。
その表情は、陰を含んでいたが、どこか希望に満ちていた。
「僕に…できる事って…何かある…?」
碧の陰を含んだ表情が気になった源太は、碧に、自分にできる事があるなら言って欲しいと問いかける。
「そうね…日曜日になったら…ここに来て…」
源太の問いかけに、碧は、助けてと言いそうになるのを堪えながら、日曜日になったら、この滝に来て欲しいと答える。
「わかった…日曜日になったら…必ずここに来るよ…」
「約束よ…」
「うん…約束する…」
日曜日になったら必ずこの滝を訪れると呟いた源太に、碧は、約束だと笑い、碧の笑顔を見た源太は、約束すると笑い、碧の小指に自分の指を絡める。
「きっと…来てね…?」
「うん…絶対来るよ」
不安げに来て欲しいと呟く碧に、源太は、必ず来ると答え、不安げにする碧に笑いかける。
やはり…源太なら…自分を助けてくれる…そんな希望が碧の胸を過り、源太もまた、碧の希望になれたような気分になっていた。