「あっ…んっ…はぁっ…」
何度繰り返されたかわからない源太との交わりの中で、碧は、心が高まる交合がある事をさらに知っていく。
「碧さん…本当に…綺麗だ…」
全身を桜色に染めて、自分の拙い愛撫に、艶やかな声を漏らし続ける碧の耳元に、源太は、綺麗だと囁き、碧をさらに高みへと追い上げていく。
「あぁっ…闇が見える…あの心地いい闇が…」
源太によってさらに高みへと追いやられた碧は、源太との交わりでしか見られない闇が見えると呟き、闇の中へと飲み込まれていくのを感じる。
「碧さん…僕にも…見えるよ…心地のいい闇が…」
碧の心地よい闇に堕ちていくという言葉を受けた源太は、自分にもその闇が見えると囁き、碧に少し遅れて心地よい闇の中へと堕ちていく。
絶望という名の白い闇に似ているのに、なぜか心地のいい闇…それは、悦楽とも違う闇…心を通わせた同士にしか見えない甘美な闇…その闇の中で、源太と碧は、彷徨いつける。
「碧…さん…」
「源太…さん…」
甘美な闇の中で、互いの存在を確かめ合うように、源太と碧は、指を絡ませ合い、口付けを交わし合い続ける。
少年時代に許されなかった恋が、いま、愛に昇華して、碧がいま、自分の腕の中にいるという事実に、源太の心は満ちていくばかりである。
碧もまた少女時代を雅彦の狂気に蹂躙される日々で過ごした…それがいま、本当の愛を知り、心が満ちていくのを感じずにはいられなかった。
絶望という名の白い闇の中で見出した僅かな希望の光は、いま、愛へと昇華し、源太と碧を優しく包み込み続ける。
終わり