『この人と行くべきなんだけど…でも…行きたくない…』
普段ならこのままかつて名乗った偽名を名乗って行きずりの恋を楽しんだこの男についていくのだが、雪田がそばにいるせいか、晴美はなぜかその男の方に足を向けることできずにいた。
「今日のめぐみちゃん冷たいね。どうしたの?」
「彼女は僕と待ち合わせていたんだ」
『え?』
この場をどう乗り切ろうかを考えていた晴美に、出された雪田の助け舟に、晴美は驚かずにはいられなかった。
雪田が自分を助けた…なぜ…?そんな事をしなさそうなのに…晴美は雪田が出した助け舟に驚かずにはいられなかった。
雪田に助け舟を出されたことで、かつて名乗った偽名を名乗って行きずりの恋を楽しんだ男は残念そうにその場を立ち去って行った。