禁区ー5

職場の上司との不倫関係の終焉は突然やってきた。
 
上司の妻が職場に乗り込んできたのだ。
 
ふっくらと膨らんだお腹に、晴美はショックを覚えずにはいられなかった。
 
割り切った関係だったとはいえ、彼の二重生活にショックを覚えずにはいられなかった。
 
自分が得られなかったものをこの人は持っている…敗北感にも似た感情を感じた晴美は、上司との不倫関係を清算して、職場に退職届を書くしかなかった。
 
 
『これからどうしようかな…?』
 
 
 多少の蓄えはあるものの生活の糧を失った晴美は、途方に暮れていた。
 
途方に暮れてはいたが、頼る相手のいない晴美は自分で何とかするしかないとも考えていた。一人で生きていくとずっと前に決めたじゃないかと、晴美は自分を鼓舞する。
 
もう…不倫なんかしない…晴美は割り切っていたとしても、妻子ある男性と交際してしまったことを後悔した晴美は、二度と不倫などしないと心に決める。