ピンポーン
『あ、あたしだ』
診察の順番を告げる音に、掲示板を見た晴美は自分の順番が回って来たこと知り、看護師に案内された扉へと向かう。
その時、晴美は緊張と同時に興奮も覚えていた。
またあの精神科医に会える…そんな思いが晴美に緊張と興奮を覚えさせていた。
「こんにちは。お待たせしました」
看護師に案内された扉を晴美が開けると、そこには雪田があの時と同じような雰囲気を醸し出しながら座っていた。
それを見た晴美は、やはり来てよかったと思っていた。
初診ということで五分診察ではなかったが、雪田からはこれからはあまり時間を取ってやれないと言われてしまった。
院長らしいから仕方がない…受付係に詮索されている時に来た患者と受付係とのやり取りで雪田がこの病院の院長である事を知った晴美は、院長なら忙しくて当然なのだろうなと思っていた。