禁区ー16

「ここに座りなさい」


「…」


 険しい表情と厳しい口調を崩さないまま晴美を繁華街の一角にある公園に連れてきた雪田は、晴美にその公園のベンチに座るように促す。

険しい表情を浮かべたまま自分に公園のベンチに座るよう促す雪田に、晴美は説教なら聞きたくないと思いながらも、険しい雪田の雰囲気に渋々公園のベンチに座る。


「ダメじゃないか…見知らぬ人と変な遊びしたら…」


「…」


 晴美を公園のベンチに座らせた雪田は、晴美の隣に座ると、先程の厳しい口調とは打って変わったように優しい声で見知らぬ異性と行きずり恋なんて真似はよすよう諭す。

雪田の諭しに、晴美はやはり説教かと思いながらも、雪田の優しい口調と、なぜか熱くなっている手を感じながらただ黙って雪田の隣に座り続ける。