「あの…ありがとうございました…」
「いえいえ」
セックス依存症が知られてしまったと思いながらも、とりあえず助け舟を出してくれたことの礼を述べる晴美に、雪田は礼には及ばないとばかりに笑いかける。
「じゃあ…私…帰ります…」
「待ち合わせはいいの?」
あまりの気まずさに場所を変えようとその場を離れようとする晴美に、雪田は、待ち合わせはいいのかと声を掛ける。
「いいんです…すっぽかされたみたいだから…」
待ち合わせはどうするのかという雪田の問いに、気付いたくせにと思いながら、晴美は待ち合わせはもういいのだと答える。
一番知られたくない秘密を一番知られたくない人に知られた…恋愛感情など抱いていないはずの雪田に知られた秘密に、晴美はそんな感情を抱いていることを感じる。