禁区ー8

『やっとたどり着いたぁ』


 そのまた後日、雪田の勤務する病院を訪れた晴美の最初の感想はそれだった。

そこまで街外れではないし、自宅から近いですよと言われていたが、晴美はかなりの方向音痴で道に迷ったのだ。

何とか診察受付時間に間に合いはしたが、たどり着いただけでもぐったりしていた。


『しかし…混んでいるなぁ…それだけ人気のある先生なのだろうな…』


 ロビーとも思われるスペースにぎっしりと座っている診察の順番を待つ患者の数に、晴美は、雪田はそれだけ人気があるのだと思った。

これは五分診察もあり得るなとも思っていた。

混んでいるから仕方ないと思いつつ、晴美はバッグから携帯ゲーム機を取り出すと、周りに迷惑がかからないようにゲームを始める。

受付係に詮索されたのは気になるが、診察が受けられるのだからいいかと晴美は考えていた。