禁区ー4

『あの先生は無理なのかぁ…』
 
 
 保健所からもらった冊子を読みながら、晴美は平日仕事をしているなら自分は無理だというあの精神科医の言葉に、晴美はあの精神科医に診てもらえないことに少し残念な思いを感じていた。
 
残念な思いと同時にあの精神科医にもう一度会いたいとも思っていた。
 
しかし、平日に仕事をしている晴美は土曜日に診てもらえる病院を探すしかなかった。
 
再会の日は訪れるのだが、それを晴美はまだ知らなかった。
 
 
『それより…あっちの問題…どうしようかな…?』
 
 
 晴美はいま、職場の上司と不倫の最中だった。
 
不倫といっても、晴美は相手に結婚など求めていなかった。
 
割り切った関係…それなのだが、それも危うくなってきていた。
 
というのも、最近やたらと無言電話が増えてきたのだ。
 
無言電話の正体が不倫相手の妻だと目星がついているからこそ憂いていた。