碧の毎夜繰り返される凌辱の時間など知る由もない源太は、昼間見た幻のような碧に思いを馳せていた。
「(綺麗な子…だったな…また…会えないかな…)」
清々しい朝の光に包まれながら、自宅の周りを散策していた源太は、また碧に会いたいと思っていた。
しかし、碧がどこに住んでいて、どんな生活をしているのか全く知らない。
知らないからこそ会いたさが募るというもので、碧の家を見つけたくて仕方なくなった。
再会はすぐに訪れる。源太が転校先の山の上にある高校へと自転車を走らせていると、背丈のある彫りが深い端整な顔立ちの男と歩く碧がいた。
「根本…碧…さんだよね…?」
碧が一緒にいる背丈のある彫りが深い端整な顔立ちの男との関係を知らない源太は、碧に思い切って声を掛ける。
「君は…今日から転校して来た子だね…?」
「はい…須本源太と言います…」
「慣れない生活で大変だけど、高校生活を満喫するんだよ」
彫りが深い端整な顔立ちの男は、源太に慣れない田舎暮らしは大変だけれど、高校生活を満喫するよう声を掛け、碧に何か耳打ちをして、碧を置いて歩き始める。
耳打ちされた碧の表情が一瞬固まるが、源太はそれすら気づかない程に、碧と再会できた喜びに浸り続ける。
「行きましょう…遅刻してしまうわ…」
一瞬表情を凍らせた後、碧は源太に早く行かないと遅刻してしまうと声を掛け、歩き始める。
「(もしかしたら…)」
源太との再会は、源太に恋の喜びを与え、碧に希望を湧き上がらせる再会となった。