「アスラン様…私は…この子が…男子でも…この子に愛情を注ぎます…」
「リンコ…掟の前では…無力な私を許してくれ…」
凛子の密やかな決心に、アスランは、絶大的な力を持ちながら、掟の前では無力な自分を許して欲しいと、凛子に呟く。
「いいえ…国を保つには…何かしらの犠牲は必要なのでしょう…」
「リンコ…なぜ…そなたは…そんなに…聞き分けがいいのだ…」
自分の子供が将来殺されるも同然になるかもしれないのに、国を栄えさせてきた現実を受け入れる凛子に、アスランは、どうしてそんなすぐに現実を受け入れるのかと問いかける。
「私の国も…かつて…そうしてきました…政治を行う将軍と呼ばれた人間は…側室を持ち…跡継ぎに選ばれなかった男子は…家臣として仕えたと聞いています…」
アスランの問いかけに、凛子は、自分たちの国も国を安定させるために同じような事をしてきたのだと答える。
「リンコ…約束はできないが…この子が男子だったら…この子が世継ぎになれるよう…精一杯務めよう…」
この国の現実さえも受け入れる凛子に、アスランは、約束はできないが、生まれてくる子が男子であったなら、その子が自分の跡継ぎになれるよう努めると呟く。
「ありがとうございます…」
「リンコ…愛している…明日にはもっと…その次の日には…もっとさらに…」
凛子の涙を拭いながら、アスランは、凛子に、愛していると繰り返し囁き続ける。