月光花ー9

「今夜は…僕を…抱いてください…かなみさん…僕を…憐れんでください…」


 かなみにきつく抱き付いたわたるは、かなみに向かい、今夜は自分の事を抱いて欲しいと呟く。


「わたるさん…」


 わたるの切実な想いに、かなみは、わたるを横たわらせると、わたるのシャツのボタンをゆっくりと外し、わたるの均整の取れた胸を露わにすると、その胸に唇を落としていく。


 西田にはしない大胆な行為に、かなみは自分に戸惑いながらも、わたるの胸の唇を落とし続ける。


「あっ…かなみさん…はっ…あっ…んっ…」


 かなみの拙いけれど熱い口付けを胸で受けながら、わたるは、かなみの名を切なげに呼び続ける。


 月明かりが漏れる部屋で、かなみのわたるの胸への口付けは続き、丑三つ時が近づく部屋に、わたるの切なげな声と吐息が漏れ聞こえてくる。


「上手にできてますか…?私…」


「はい…もっと…僕を…抱いてください…かなみさんに…壊されるなら…僕は…本望です…」


 わたるの事を上手に抱けているかと訊ねてきたかなみに、わたるは、もっと抱いて欲しいと呟き、続けて、かなみに壊されるなら本望だと呟く。


 逢いたくて、恋しくて、狂おしいかなみへの想いを抱き締めて、かなみにこの心を壊されるのなら本望だとわたるは思っていた。


「わたるさん…好きです…あなたが…」


「かなみさん…その言葉だけで…僕は…満たされそうです…」


 わたるに口付けながら、わたるが好きだと呟いたかなみに、わたるは、その言葉だけで心が満たされていくと呟き、かなみを抱き締めると、かなみに深く口付ける。


「かなみさん…僕は…あなた以外の人は…愛せません…僕の目には…あなた以外の人は…映りません…」


 わたるは、かなみを抱き締めると、自分はかなみ以外の人間は愛せない、自分の目にはかなみ以外の女性は映らないと呟く。


「かなみさん…きてください…もっと…あなたに…溺れさせてください…」


 わたるは、かなみに、口付けると、一つになりたいと呟き、かなみに溺れている自分をもっと溺れさせてほしいと呟く。


 そのわたるの言葉に、かなみは、わたるに口付けると、わたるの分身を受け入れ、拙く腰を揺らす。


 西田には決して見せない自分のその姿に、かなみは、なぜ、わたるとならこんなに大胆な事が出来るのか戸惑いながらも、わたるが求めるままに、腰を拙く揺らし続ける。


 月明かりの漏れこむ部屋に、二人の互いを求め合う声と影が揺らめき続ける。