月光花ー8

「気に障ってはいません…ただ…あなたが…私に…触れたくないのかなと思って…」


気に障ったのなら謝るというわたるの呟きに、かなみは、気に障ってはいないが、わたるが自分に触れるのが嫌なのかと思っただけだと呟く。


「そんな事…思った事ありません…僕は…社長が抱いた跡が残ってるあなたを何度も抱いてきたじゃありませんか…」


 かなみの呟きに、わたるは、そんな事思った事などないと呟き、続けて、自分は西田が抱いた痕跡があるかなみを何度も抱いてきたではないかと呟く。


「気に障ったのなら…ごめんなさい…あなたを…疑ったわけではないのです…」


 わたるの呟きに、かなみは気に障ったのなら謝るけれど、わたるの気持ちを疑ったわけではないのだと呟く。


 確かに、わたるは、かなみの身体に西田の痕跡があっても、逢える日はかなみを抱いてきた。しかし、抱かれた直後は無理だろうとかなみは思っていた。


「かなみさん…僕を…暖めてください…あなたに逢いたくて…寒空の中…立ち尽くしてしまった…哀れな僕を…」


「わたるさん…」


 かなみに逢いたくて、寒空の下立ち尽くしてしまった自分を暖めて欲しいと呟いてきたわたるを見つめたかなみは、わたるに近寄ると、わたるを包み込むように抱き締める。


「かなみさん…」


 かなみに跪くような形でかなみに抱き付いたわたるは、かなみの切なげにそして苦しげにかなみの名を呼ぶ。


「私の事も…暖めてください…わたるさん…」


 わたるの切なげな声に、かなみは、わたるの顔を上に向けると、自分の事も暖めて欲しいと呟き、わたるに口付ける。


「かなみさん…」


 かなみからの口付けを受けたわたるは、かなみの腰に手を回すと、かなみの帯を解き、長襦袢のしごきを解き、前がはだけ、露出されたかなみの形のいい乳房に顔を埋める。


「かなみさんは…暖かい…こうしてるだけで…心が…満たされていきます…」


 かなみの乳房に顔を埋めたわたるは、暖かいと呟いた後、ただ、かなみに触れているだけで心が満たされていくのがわかると呟く。


「わたるさん…」


 胸に感じるわたるの熱い吐息に、かなみは、自分の胸に押し付けるように、わたるを抱き締める。


「かなみさん…」


かなみに抱き締められたわたるは、さらにかなみの感触を得ようと、記憶を確かめるようにかなみの身体に指を滑らせていく。


 かなみの肌は、滑らかでそれでいで弾力も感じる肌をしていた。