宵闇に包まれた部屋の中で、わたるは、かなみを抱き寄せる。
かなみもまた、着物の裾が乱れている事を気にすることなく、わたるの腕の中に納まる。
「さっき…危険な事はしないで欲しいと言いましたが…本当は…嬉しかったのです…危険を冒してまで…逢いに来てくれた事が…」
わたるの腕の中に納まりながら、かなみは、先程、危ない真似はやめてくれと言ったが、本当は月の闇に紛れて逢いに来てくれて嬉しかったのだと呟く。
「かなみさん…」
かなみの呟きが嬉しくなったわたるは、かなみを抱き締めると、かなみの薄く紅がひかれた唇に自分の唇を重ねる。
それが合図のように、密やかな情事は幕を開ける。
かなみがわたるから身体を離し、わたるに背を向け、帯に手を掛けたら、それは、いままでの情事の合図。しかし、この日は少し違っていた。
「わたるさん…待ってください…」
帯を解き終えないうちに、わたるに抱き寄せられ、かなみは、わたるにすべて脱ぎ終えるまで待つよう呟く。
「今日は…もう…待てません…だって…僕知っているんです…僕と逢う日の…かなみさんは…下着を付けずに…着ている事を…」
かなみに近付き、かなみを抱き締めながら、わたるは、かなみに、自分と逢う日のかなみが下着を身に付けていない事を知っているのだと呟く。
「わたるさん…」
わたるの言葉に、かなみは、自分の密やかな合図を見抜かれていたことを知る。確かに、かなみは、わたると逢ってもいい日は、下着を身に着けずに着物を着ていた。
「かなみさん…」
かなみの密やかな合図を見抜いたわたるは、かなみが本当に下着を身に付けていないことを確かめるように帯が緩んだ着物の胸元に手を差し入れる。
「ほら…やっぱり…そうだ…」
わたるの思った通り、かなみの身体に下着の手触りはなく、わたるは着物の下に隠れる形のいい乳房をまさぐり続ける。
「あっ…だめっ…」
わたるに乳房をまさぐられたかなみは、甘く息を吐きながら、躰を捩じらせる。かなみが躰を捩じらせたことで着物の裾は完全に乱れ、乱れた裾からは、かなみの白くて細い脚が覗く。
「あっ…だめっ…わたる…さん…あぁっ…」
完全に乱れた裾から覗く脚に手を這わされたかなみは、さらに進むわたるの愛撫に、甘く息を吐き、身体を捩じらせ続ける。
宵闇に包まれた部屋の中、わたるとかなみの影が重なり、揺らめき始める。