それは、ある嵐の夜だった。
「そっちに行ったぞ」
「捕まえろ」
真夜中の邸宅の暗闇の中に卑しい声がこだまする。
この邸宅でひとり留守番をしていた少女は、真夜中に聞いた音で両親が帰ってきたのだと思った。
しかし、そこに居たのは数人の男たちで、少女はとっさに捕まるまいと邸宅の中を逃げ回る。
いま、少女に降りかかっているのは、生命の危機よりも貞操の危機であった。
少女は思った。お手洗いに逃げ込めばよかったと。
だが、時すでに遅く、少女が男たちに捕まるのは時間の問題であった。
「そんなに逃げないでさぁ…」
「俺たちと遊ぼうぜ」
行き止まりに追い詰められた少女に、男たちは懐中電灯を照らしながら、卑下た笑いを浮かべ、少女を捕まえる。
「いやっ、離して」
いまさら抵抗したところでどうにもならないとわかっていながらも、少女は、貞操だけは守りたいと必死に抵抗を試みる。
しかし、少女の抵抗空しく、少女は男たちによってすぐ隣の座敷へと引きずり込まれる。
他を探していた男たちも少女が引きずり込まれた座敷へと集まる。
男たちの数は四人。覆面をしていたため、顔はわからないが、屈強な体格をしている事は、懐中電灯で自分を照らす灯りでもはっきりとわかった。