砂漠の薔薇ー5

 アスランのその言葉に、周囲はどよめき、凛子は、身体が固くなっていくのを感じた。


「サルタンのお心のままに


 周囲がざわつく中、エルコンは、アスランに、アスランの望むままにと答える。


「この娘をハレムに連れて行け…」


 周囲のざわめきが収まらない中、アスランは、凛子を自分の女人たちが暮らすハレムへと連れて行くよう告げる。


「えっ…?いやっ…離して…」


 いきなり両腕を掴まれ、事態が飲み込めた凛子は、いまさらながら抵抗を始める。


「抵抗する姿も…なかなかいい…今夜が…楽しみだ…」


 まだ生娘とわかる凛子の行動に、アスランは、今夜自分が凛子を征服するのだという喜びを隠すことなく、ハレムへと連れて行かれる凛子の姿を眺める。


「エルコン…あの娘は…東洋のどこの娘だ…?」


「おそらく…ジパングの娘かと…」


 再びエルコンの方を見て、凛子はどこの国の娘かと訊ねるアスランに、エルコンは、おそらくジパングつまり日本の娘ではないかと答える。


ジパングの娘か…実に…興味深い…」


 エルコンの答えを聞いたアスランは、自分が座る長椅子の縁を撫でながら、ジパングの娘は、いままで会った事がないから興味深いと笑う。


「あの様子では…かなり貞淑な娘と見た…」


ジパングの娘は…謎が多いとされています…」


 ハレムへと連れて行かれる凛子の様子を見て、ジパングの娘は貞淑な娘のようだと呟いたアスランに、エルコンは、ジパングは謎が多い国で、だからジパングの娘も謎が多いとされていると答える。