「いやっ…ここから出して」
ハレムと思われる場所に連れ来られ、そのハレムの一室に押し込められた凛子は、必死に固く閉ざされた扉をたたく。
しかし、扉は開かれることはなかった。
「私…どうなってしまうの…?」
凛子は、自分の行く末に不安を感じずにはいられなかった。
「そうよ…誇りを失ってはいけない…」
そして、夜になった。
固く閉ざされていた扉が開き、凛子と同じような姿をしたアスランが部屋の中へと入って来た。
「ジパングの娘…なかなか…その衣裳も似合っているな…」
「ジパングの娘ではありません…私には凛子という名前があります…」
「随分…強気だな…」
凛子の毅然とした態度に、アスランは、苦笑いにも似た笑みを浮かべると、凛子との間合いを詰めていく。