やがて王宮に着き、凛子は、海賊の長と共に、謁見の間と思われる部屋で、サルタンが現れるのを待つ。
侍従長が、謁見の間にサルタンが現れたのを告げ、周りが深く傅くのに倣って、凛子も深く傅く。
「エルコン…今日は…やけに…珍しい娘を連れているな…」
「はい…欧州に向かう東洋からの客船に乗っていた娘です」
見るからに若いサルタンに今日は珍しい娘を連れているなと訊ねられた海賊の長のエルコンは、欧州に向かう東洋からの客船に乗っていた娘だと答える。
「東洋の娘か…中々…興味深い…」
若きサルタンは、凛子を見ながら、東洋の娘はいままで見た事がないから興味深いと呟く。
「娘…名はなんと申す…?わしは…この国の王のアスラン・サリードだ…」
「伊集院…凛子と申します…」
「リンコ…不思議だが…綺麗な名前だ…」
凛子の名を聞いたアスランは、いままで聞いたことがない不思議な名前だが、綺麗な名前だと凛子に笑いかける。
「エルコン…この娘は…どうなるのだ?」
「どうなると申しますと?」
いきなりエルコンに、凛子はどうなるのだと訊ねてきたアスランに、エルコンは、それはどういう意味かと問いかける。
「この娘を…わしに献上しろ…」
エルコンの問いかけに、アスランは、凛子を自分に献上しろと、エルコンに告げる。