2014-01-01から1年間の記事一覧

雪月花-14

「旦那…様…やめて…ください…」 「いいじゃないか…見せつけてやろうじゃないか…この男に…」 か細い声でやめて欲しいと呟くかなみに、西田は、わたるに自分たちの関係を見せつけてやろうと呟くと、わたるに見せつけるように、かなみの身体に唇を這わせ続ける。…

雪月花ー13

罠は…思わぬところに仕掛けてある…罠は罠とはわからない形で仕掛けてある… 「(あっ…すみれだ…)」 西田との鉢合わせを免れてから数日後…わたるは、いつものように、かなみの家の庭先に花が咲いていないか確かめにきていた。そして、この日、庭先にすみれを…

雪月花ー11

「かなみさん…あなたが…夜を忍んで…逢いに来てくれたから…僕も…冬を忍ぶのです…」 自分は小さな幸せなど運んでいないと呟いたかなみに、わたるは、かなみが夜を忍んで逢いに来てくれたから、自分も吹雪吹きすさぶ冬よりも厳しい冬を忍ぶのだと呟く。 「わた…

雪月花ー10

その日の夕方…空は茜色から紫色へと変わりつつあった… 「(やっぱり…花はないか…)」 ゆかりに忠告されたが、やはり、庭に花が咲いていないか確かめたかったわたるは、かなみの家の前に来ていた。そして、庭に花が咲いてないか、確かめて、咲いてなかったか…

雪月花ー9

それから…数日後… 「わたる。ちょっと」 定時になり、帰り支度をしていたわたるに、わたるとかなみの関係を知っているゆかりが声を掛ける。 「何だよ」 訳が分からないまま、手を引かれたわたるは、ゆかりに何の用だと訊ねる。 「今日は行かない方がいいよ。…

雪月花ー8

熱く乱れた後に訪れる沈黙の時間…かなみは、乱れた髪を直しながらわたるを見る 「こうして…かなみさんを…見ていると…やっぱり夢のようです…ここに…かなみさんが…いる事が…」 熱く乱れた余韻もそのままに、わたるは、かなみに、自分の部屋にかなみがいて、そ…

雪月花ー7

「あっ…んっ…ふっ…んっ…はぁっ…」 静かな部屋にかなみの甘くそれでいて艶やかな声が漏れ聞こえる。 「わたるさん…だめっ…そんな…ところ…」 わたるの細やかさが増す愛撫に、かなみはそんな事はしないでくれと、口を開けば漏れる甘い吐息に邪魔されながら呟く…

雪月花ー6

かなみは走る…闇夜に紛れて走る…逢いたくて…恋しくてたまらない人のもとへ… 「かなみさん」 インターホンが鳴り、まさかと思いながら、ドアを開けたわたるは、ドアの前に立っていたかなみに驚く。 昨日に続いて逢いに来てくれた事がわたるは嬉しかった。 「…

雪月花ー5

「わが社が出した帯は、全部かなみに似合いそうな物ばかりだ」 「そうですか…?」 自分の会社が出した帯は全部かなみに似合いそうな物ばかりだと感嘆する西田に、それもそのはずだと言えないかなみは、そうですかと首をかしげる。 いままで出された帯は、み…

雪月花-4

翌日…かなみは、西田の来訪を受けていた…かなみの入っている籠の持ち主だから毎日のように来ていても不思議ではないのだが、それだけ、わたるとかなみが逢えなくなる時間が長くなるだけだった。 「かなみ…最近…変わったな…」 「どこがですか…?」 事に及んだ…

雪月花ー3

「かなみさん…」 「わかっています…少し待ってください…」 着物の裾から分け入るように手を忍ばせ、かなみが欲しいと呟いたわたるに、かなみは、わかっているから少しだけ待つよう呟き、わたるから身体を離すと、わたるに背を向け、着物の帯を自ら解く。 「…

雪月花ー2

「青山さんが…私の家に来た時に…あなたの家の住所を教えてくださったのです…」 どうして教えてないはずの自分の部屋がわかったのかというわたるの問いに、かなみは、ゆかりが自分の家に来て、わたるの部屋の住所を教えてくれたのだと呟く。 「青山…」 「それ…

雪月花-1

立春を過ぎたというのに、寒さが続く日々…窓の外は…季節外れの雪が降る… 「かなみさん…」 皆川わたるは、自分の部屋の窓から外の雪を眺めながら、滅多に逢う事が許されない愛しき人の名を呼ぶ。 皆川わたると綾瀬かなみは、想い合ってはいるが、かなみがわた…

続編のお知らせ

懲りずにまた続編をUPします。 タイトルは雪月花 わたるとかなみの愛の軌跡最終編です。 月光花より先に書いているので、所々にあらが出てきているかもしれませんが、その時はすみません。 これも、独立した話としても楽しめるように書いておりますが、花…

月光花あとがき

月光花いかがでしたか? いくつか、何だこれって感じのところがあったと思います。 この月光花は元々書く予定ではありませんでした。 ただ、わたるとかなみの間に波風みたいなものを立たせたくて書いたものです。 今日からUPする作品より後に書いたので、…

月光花ー36

「あっ…んっ…はぁっ…んっ…」 白く澄んだ肌を淡いピンク色に染めながら、かなみは、乳房の上にある乳首をピンと立てながら、甘く息を吐き、身体を仰け反らし、細やかさを増すわたるの愛撫に溺れていく。 「こんなに固くして…でも嬉しいです…僕に…感じてくれて…

月光花ー35

「そういえば…どこに行っていたのですが…?」 「バレンタインデーに…女性が出かけるところといったら…一つしかありません…」 そういえば、どこかへ出かけていたみたいだけれど、どこに行っていたのかと訊ねるわたるに、かなみは、バレンタインデーに女性が出…

月光花ー34

数日後…この日は…バレンタインデー…女性がチョコを贈って愛を告白する日… この日は、わたるの誕生日でもあった。 「(やっぱり…今日は…無理だよな…)」 かなみの家に行く道すがら、わたるは、かなみの家の庭に花が咲いていないかどうか考えていた。クリスマ…

月光花ー33

熱く乱れた後に訪れる静かな時間…わたるとかなみは余韻冷めやらぬ身体を寄せ合う。 「かなみさん…」 闇の中でかなみを抱き寄せたわたるは、かなみへの想いを伝えるように、かなみの額に口付ける。 「わたるさん…訊いてもいいですか…?」 「何ですか…?」 何…

月光花ー32

「あっ…んっ…はっ…あっ…んっ…」 「今日も…いい声ですよ…かなみさん…」 わたるの細やかな愛撫に、甘い声を漏らし続けるかなみに、わたるは、今日もいい声で啼いてくれていますねと囁きかける。かなみが西田の腕の中でどんな声で啼くかは知らないが、わたるは…

月光花ー31

「かなみさん…そんな顔しないでください…押し倒しますよ…?」 燻り始めた熱を堪え切れないという表情を浮かべるかなみに、わたるは、そんな顔されるとこの場に押し倒しそうになるから、そんな顔をしないでくれと問いかける。 「押し…倒して…ください…その方…

月光花ー30

「あの…わたるさん…訊いてもいいですか…?」 「はい…何でしょうか…?」 何か聞きづらそうにしながら、わたるに問いかけるかなみを見たわたるは、優しく笑いながら問い返す。 「この間の…使わなかった手段って…どんな手段ですか…?」 わたるの問い返しに、か…

月光花ー29

「それでは」 「お気を付けて」 かなみに家から帰っていくゆかりを、かなみは笑顔で見送る。そこへ、わたるが日課となってしまった花を確かめにやってきた。 「あれ?あれ、青山ですよね?かなみさん」 ゆかりが帰っていくのを見かけたわたるは、門の前に立…

月光花ー28

「最初から勝負になっていないのに…勝負をしてしまって…ごめんなさい…」 「いいんです…過ぎた事ですし…」 初めから勝負になっていないのに、勝負を挑むようなことをしてしまった事を詫びるゆかりに、かなみは、過ぎた事だから気にしないでいいと答える。 「…

月光花ー27

その日の夕方…かなみは、買って来た福寿草を見つめていた。西田から今夜は来られないという連絡があったら、すぐ庭先に飾れるように。 「ごめんください」 「はい…あ、あなたは…」 玄関から聞こえてきた声に、かなみが玄関先に行くと、そこには、ゆかりが立…

月光花ー26

数日後… 「わたる。おはよう」 数日ぶりに会社に出勤してきたわたるに、ゆかりは声を掛ける。 「おはよう」 「そっけないね」 「当たり前だろ。お前はただの同僚だ」 挨拶を軽く受け流され、そっけないと声を掛けるゆかりに、わたるは、ゆかりはただの同僚だ…

月光花ー25

「うっ…んっ…わたる…さん…?」 少しうめいて目を覚ましたかなみは、わたるの姿を探す。わたるは、隣で満足そうに眠っていた。 「わたるさん…」 わたるの手を取って、その手に頬を寄せてみたら、かなみの目から自然と涙がこぼれる。この手に自分以外の女性が…

月光花ー24

「じゃあ…許してあげます…かなみさん…いきますよ…」 わたるは、かなみに、許してあげると呟いた後、かなみの腰を引き寄せると、自分の分身を、かなみに秘部に差し込み、かなみを突き上げる。 「あっ…んっ…はっ…あっ…んっ」 わたるに、焦らしに焦らされていた…

月光花ー23

「あっ…んっ…やっ…んっ…はっ…んっ…」 かなみは、人差し指を噛み、首を横に振り、わたるが与えてくる刺激に耐える。しかし、どんなに指を噛んでも、甘い吐息が口から漏れてしまう。 「もう…許して…わたるさん…」 「だめです…まだ許してあげません…かなみさん…

月光花ー22

「離してください…」 「今日から逃がさないって…言ったじゃないですか…」 かなみを家の中へと運んできたわたるは、自分の腕の中で、事態が飲み込めず、ジタバタと暴れるかなみに、今日からは逃さないと言ったはずだと笑いかけ、かなみを組み伏せる。 「今か…