「瞳さんは?」
「さっき眠ったところだ。昨夜からずっと俺の相手をしていたからな」
瞳という女性はどうしているのかとひろきに訊ねられたひかるは、瞳なら昨夜から自分の相手をしていたから、寝室で眠り始めたところだと答える。
「さっきって…昨夜からって…」
ひろきとひかるのやり取りを聞いていたれいかは、もう夕闇が近い時間なのに、昨夜からいままで瞳という女性とひかるが睦み合っていたという事実に驚かずにはいられなかった。
自分なんか数時間睦み合ったら満足するような男性しか知らないというのに、その瞳という女性は、一晩中いや一日中睦み合える男性がいる事に、れいかは、なぜか瞳を羨ましいと思っていた。
「彼女が羨ましいかい?」
「そ、そんな事、あるわけないじゃありませんか…」
いきなり瞳が羨ましいかとひろきに訊ねられたれいかは、そんな事あるわけがないじゃないかと慌てたように答える。
「お嬢さんには少し刺激が強いか…?」
「いや…彼女は…確実に瞳さんを羨ましがっている…」
世間知らずそうなれいかには刺激が強い話だったかと呟いたひかるに、ひろきは、れいかは確実に瞳を羨ましがっていると答える。
「だったら…お前が満足させてやればいいじゃないか」
「まだ今日が初デートなんでね」
瞳を羨ましがっているとわかっているなら、満足させてやれないいじゃないかと声を掛けてきたひかるに、ひろきは、今日がれいかとの初デートだから、順序を踏んでいる段階なのだと答える。
そのやり取りに、れいかは、ひろきには誰も知らない素顔が隠されている事を感じ取る。