「それじゃ、僕たちはこれで失礼するよ」
「あぁ、またな」
もうそろそろお暇すると切り出したひろきに、ひかるは、またなと声を掛ける。
「お邪魔しました…」
「気を付けて…」
お邪魔しましたと頭を下げたれいかに、瞳は、帰りに気を付けてと優しく微笑みかける。
「彼らを見て…どう思った…?」
帰りのエレベーターを待ちながら、ひろきは、れいかに、ひかると瞳の関係を見てどう思ったのかと問いかける。
「仲がいいのだなと思っただけです…」
ひろきの問いに、れいかは、ただ仲がいいのだなと思っただけだと答える。
本当は、あんなに愛し合える相手がいる瞳が羨ましいと思っていたことを、れいかは隠した。
「羨ましいって思ったんじゃない?」
「そんな事ありません…」
ひかると瞳が羨ましいと思っていたのではないかと問いかけるひろきに、れいかは、自分の中に沸き起こった感情を否定するように、そんな事はないと答える。
「嘘…羨ましいと思ったはず…その証拠に…」
れいかの返答に、ひろきは、それは嘘だと呟くと、れいかを抱き寄せ、れいかに口付ける。
再び口付けられたれいかは、ひろきを引き剥がそうとしたが、抵抗を封じられ、ただなすがままになるしかなかった。
映画館でされた時よりも深く蕩けそうになりそうなひろきの口付けに、れいかは、れいかはかつてない程の胸の高鳴りと下半身に燻り始めた熱を感じていた。