「そうだったのですか…」
事態を把握できた瞳は、れいかに向かい、そうだったのかと呟く。
「あの…疲れませんか…?一日近く相手をしていて…」
瞳のまだ乱れているとわかる黒髪を見ながら、れいかは、一日近く男性と睦み合って疲れたりしないのかと、瞳に問いかける。
「しないわ…だって…求めているのは…私の方だから…」
れいかの問いに、瞳は、ふふっと笑った後、自分の方がひかるを求めているのだから、疲れたりなどしないと答える。
「あなたにも…きっとわかるわ…私が疲れを感じない理由が…」
どうしてなのかわからないという表情を浮かべるれいかに、瞳は、れいかにもきっと自分がひかると長時間睦み合っても疲れない理由がわかると笑いかける。
「そういえば、お前、何の用事で来たんだ?」
れいかと瞳のやり取りを見ながら、ひかるは、ひろきに、今日は何の用事があってここに来たのかと問いかける。
「何だったかな?お前と瞳さんの声聞いてたら、忘れたよ」
ひかるの問いに、ひろきは、最初は用事があったのだが、ひかると瞳の睦み合う声を聴いていたら、何の用事で来たのか忘れてしまったと笑う。
「しょうがない奴だな…で、そこの御嬢さんとはもうベッドインはしたのか?」
「そんな事まだです。まだ映画を一緒に見に行っただけです」
ひろきに向かってれいかとはベッドインを済ませたのかと訊ねるひかるに、れいかは、慌ててまだ映画を一緒に見に行っただけだと否定する。
なぜか、映画館でされた行為やキスをされた事は言い出せなかった。
ひろきの行為を認めてしまえば、自分もひろきを求めた事を肯定してしまうような気がしたからだ。