2014-12-23から1日間の記事一覧

月光花ー10

「かなみさん…」 「はい…」 乱れた後に訪れる静かな時間…かなみは、乱れた髪を直しながら、わたるの声に応える。 「抱いてくれて…ありがとうございました…僕…嬉しいです…」 乱れた余韻を身体に残しながら、わたるは、かなみを抱き寄せると、自分を抱いてくれ…

月光花ー9

「今夜は…僕を…抱いてください…かなみさん…僕を…憐れんでください…」 かなみにきつく抱き付いたわたるは、かなみに向かい、今夜は自分の事を抱いて欲しいと呟く。 「わたるさん…」 わたるの切実な想いに、かなみは、わたるを横たわらせると、わたるのシャツ…

月光花ー8

「気に障ってはいません…ただ…あなたが…私に…触れたくないのかなと思って…」 気に障ったのなら謝るというわたるの呟きに、かなみは、気に障ってはいないが、わたるが自分に触れるのが嫌なのかと思っただけだと呟く。 「そんな事…思った事ありません…僕は…社…

月光花ー7

それから…数時間後… 「わたるさん…」 「こっちです…かなみさん…」 金木犀の木のそばに来たかなみは、わたるに声を掛け、金木犀の木から離れていたわたるは、金木犀の木のそばにいるかなみに駆け寄る。 「あれほど…危険な事はしないでって…お願いしたではあり…

月光花ー6

数日後の夜…この日もわたるは、花がなかったことを確かめたのにも関わらず、かなみの家の裏手にある金木犀の木のそばで佇んでいた。 「(かなみさん…やっぱり…来てしまいました…) 」 金木犀の木のそばで佇みながら、わたるは、一目でいいからかなみに逢いた…

月光花ー5

宵闇に包まれた部屋の中で、わたるは、かなみを抱き寄せる。かなみもまた、着物の裾が乱れている事を気にすることなく、わたるの腕の中に納まる。 「さっき…危険な事はしないで欲しいと言いましたが…本当は…嬉しかったのです…危険を冒してまで…逢いに来てく…

月光花ー4

翌日…わたるは、もうすでに日課になったかなみの家の庭先に花があるかどうか確かめにやって来ていた。 「(昨日の今日だけど…今日は…逢えるかな…?)」 昨日、逢いたい想いを抑えきれず、月の闇に紛れて逢いに行ったが、今日、逢えたらいいなとわたるは思っ…

月光花ー3

「わたる…もしかして…今日は…」 「いやっ…花がない日だから…」 今日は、かなみの家で過ごしていたのかとゆかりに訊ねられたわたるは、今日は庭に花が咲いてない日だから逢えない日だと答える。 「うそ…わたる…逢いに行ったのでしょ…?服にファンデーション……

月光花ー2

「かなみ。どこにいるのだ?かなみ」 わたるとかなみの口付けが深いものとなっていたその時、遠くからかなみの籠の持ち主である西田の声がした。 「西田が戻ってきました。早くここから」 西田のかなみを探す声に気付いたかなみは、わたるから身体を離すと、…

月光花ー1

月明かりの美しい夜に、金木犀の木のそばに佇む人影… 「(かなみさん…)」 この日、皆川わたるは、想い人の綾瀬かなみに逢いたい想いを堪え切れず、かなみの家に籠の主が来ているとわかっていながら、かなみの家に来ていた。 表に立っていたら、籠の主に見つ…

月光花始まります

おはようございます。 昨日、予告していたように創作小説・月光花をUPしたいと思っています。 この話は若干、昨日までUPしていた花灯篭と話が繋がっております。 独立した話として楽しめるようには書いておりますが、花灯篭を読んでいるとより、楽しめま…