2015-10-13から1日間の記事一覧

愛しき罪ー5

朱里が入院してから一か月が過ぎた。 薬を完全管理されているせいか、症状は表面的には治まっているが、朱里の境界性人格障害の症状は密やかに進行していた。 「須崎さん。今日も食べないの?」 「はい…なんか…食欲なくて…」 食事チェックをする看護助手に食…

愛しき罪ー4

「(そうか…弓月さんって…結婚してたんだ…)」 弓月の左手の薬指に光る指輪を見た朱里は、なぜだかわからないが、弓月が妻帯者である事に愕然としていた。 弓月は一看護師で、自分は一患者。それなのに、弓月が妻帯者である事に愕然とする自分に、朱里は自分…

愛しき罪ー3

朱里が入院し始めて一週間が過ぎ、弓月が夜勤の夜の事だった。 朱里はある女性患者が弓月に恋をしてしまったと告げているのを見てしまった。 朱里は、弓月の端整な顔立ちは認めていたが、一患者なのだから、一看護師に恋をするなんて考えられなかった。 「あ…

愛しき罪ー2

「弓月さん。先程連絡した今日から入院していただく須崎朱里さんです」 「あぁ…ありがとう…ここから先は僕がするから。須崎さん。初めまして。看護師の弓月です」 朱里を紹介された弓月という男性看護師は、朱里を連れてきた看護師に礼を述べた後、朱里を見…

愛しき罪ー1

とある街のとある精神科病院に入院することになった須崎朱里は、初めての精神科病棟への入院に戸惑いと不安を感じていた。 朱里の病名は境界性人格障害で、大量服薬などの自傷行為が激しいため、今回の入院となった。 『ついに…入院か…』 精神科病棟に入院し…

新作UPのお知らせ

かなり時間が開きましたが、新作出来上がりました。 タイトルは『愛しき罪』です。 無駄に長くグダグダな内容となっていますが、楽しんでいただけたら幸いです。 精神科の病名など症状や主人公の職業の表現などに相違があるかもしれませんが、これまた楽しん…