純白の恋人ー8

やがて、パーティーはお開きとなり、紫苑とあやかも家路に着く。


「疲れてないかい?」


「はい…大丈夫です…」


 慣れないパーティーで疲れていないかと声を掛けてきた紫苑に、あやかは、疲れてはいない、大丈夫だと答える。


「気付いたかい…?君を見る参加者たちの目…君に声を掛けたくてたまらなそうにしていた男性陣の目を…」


 紫苑は、あやかに、パーティーに参加していた男性陣が、あやかに声を掛けたがっていた事に気付いていたかと声を掛ける。


「いいえ…緊張で…何も考えられませんでした…」


 紫苑の言葉に、あやかは首を横に振ると、緊張で周りを見渡す余裕などなかったと答える。


「それよりも…紫苑…さんが…私なんかを…連れているから…」


「いじめられたの?」


「何か言われたわけではないのですが…視線を感じたもので…」


 紫苑が自分なんかを連れてパーティーに参加するから、参加していた令嬢たちやご婦人方に妬まれたみたいだと呟いたあやかに、紫苑は何か意地悪でもされたのかと問いかけ、問いかけられたあやかは、何か言われたりされたりしたわけではないが、視線を感じたのだと答える。


「僕も…君のそばを離れている時は気が気でなかったよ…参加している男性陣に何かされるのではないかってね…」


 紫苑は、あやかに、自分があやかのもとを離れている時、参加している男性陣に何かされているのではないかと気が気でなかったと呟く。


「でも…お友達と話をしていて安心したよ」


「そうですか…」


 参加していた男性陣に何かされているのではないかと心配していたけど、あやかがみはると話をしていて安心したと声を掛けてきた紫苑に、あやかはそうですかと呟く。


「だから…もっと…君を…知りたくなった…」


「えっ…?」


 あやかをもっと知りたくなったと呟いてきた紫苑を、あやかは驚いたように見る。これは、つまり告白なのか…それとも…ただの気まぐれなのか…わからないまま、あやかは紫苑を見る。


「君も…大人なら…僕の言っている意味…わかるよね…?」


「紫苑…さん…」


 あやかの顎に手を添え、あやかも大人なら自分の言っている意味は分かるだろうと問いかけてきた紫苑に、あやかは、戸惑いを纏った瞳で紫苑を見つめる。その瞬間、紫苑は、あやかの唇に自分の唇を重ねる。