「朱里は確かにそういう病気だけど…いままでこんなに冷たくはなかった…」
「私にどうしろと言うのです…?」
確かに朱里はそういう傾向の病気だが、ここまで冷たくはしなかったと呟く弓月に、朱里は自分にどうして欲しいというのかと問いかける。
「人は何も知らなかった頃には戻れないよ…」
「戻らなければいけない時もあるのです…私よりも長生きしているのなら、それくらいわかるでしょ」
朱里を全く知らなかった頃には戻れないと呟いた弓月に、朱里は、人はそれでも戻らなければいけない時があるのだって、自分より長生きしている弓月なら、それくらいわかるだろうと告げる。
「(今度…ばれたら…クビは免れないし…私も転院を余儀なくされるじゃない…)」
今回はクビを免れたような弓月を見ながら、朱里は、今度関係が知られたら、弓月もクビは免れないだろうし、自分も転院を余儀なくされるではないかと考えていた。
「すべては…あなたのためですよ…弓月さん…」
「それで…僕が幸せだと思っているのかい…?」
すべては弓月のためなのだと呟いた朱里に、弓月は、それで自分が幸せだと思っているのかと問いかける。
「朱里…どうして…泣いてるの…?」
「別に…泣いてなんかいません…」
弓月を忘れられない辛さを思い出してしまった朱里に、弓月はどうして冷たくしながら泣くのかと問いかけ、問いかけられた朱里は、別に泣いてなどいないと答える。
「あの日…言ったよね…?何が起きても…朱里のせいにはしないって…」
弓月は、朱里に、あの日、自分は何が起きても朱里のせいになどしないって言ったはずだと呟く。