平安恋奇譚ー22

その後、意識を取り戻したまりを蒼は貪り続け、まりを解放したのは、夜明け近くの事だった。


「まり様…そろそろ…お目覚めにならないと…」


「うぅ…んっ…」


 枕元で聞こえた小梅の声に、まりは、少しうめいて身体を起こす。


「小梅さん…私…身体が…持たない…」


 小梅に打ち解けてきたまりは、小梅に、こうも毎晩朝方まで求められると身体が持たないと呟く。


「だから…食べて…精を付けていただかないと…蒼様は…不死身ですから…」


 まりの弱音とも取れる呟きに、小梅は、だからこそ食事をきちんと取って、精を付けなくてはいけないのだと笑いかける。


「不死身の人と寿命がある人じゃ…体力も違うのですね…」


 小梅の言葉に、まりは、不死身の蒼と寿命がある自分とでは体力が違うのだなと呟く。


「蒼様は…まり様を気遣っていらしているのですよ…これでも…」


「これでもって…」


 蒼がまりを気遣っているという小梅の言葉に、まりは信じられないとばかりに小梅を見る。


「前の伴侶様は…一晩で力尽きてしまわれました…」


「一晩?」


 蒼の前の伴侶は、一晩で力尽きたという小梅の言葉に、まりは、前の伴侶が一晩で力尽きる程に蒼の精力の強さにただ驚く。


「だからこそ…生まれ持った魔力の強い方を求めていらっしゃるのです…」


 小梅は、だからこそのまりなのだと、まりに告げる。