2015-10-10から1日間の記事一覧

平安恋奇譚ー34

熱い…寒い…冷たい…痛い…苦しい… あらゆる苦しみがまりに襲いかかり、まりは死を覚悟した。 蒼を想う苦しみから逃れる手段として蒼との交わりに溺れていた。 だから、もういいのだと… 「まり…死ぬな…お前が死んだら…私は…どうすればいい…」 朦朧とする意識の…

平安恋奇譚ー33

「小梅、なぜ、私の血を飲ませた」 まりを抱き抱えながら、蒼は、小梅を睨みつけ、なぜ、まりに自分の血を飲ませたのだと詰め寄る。 「飲んだのは、彼女の意志です」 「私の血を飲む危険性を言ってなかっただろ」 蒼の血を飲んだのはまりの意志だと答える小…

平安恋奇譚ー32

「ちょっと…待っててくださいね…」 小梅は、まりに、少しの間待っててくれと言い残し、部屋を出ていく。 「お待たせしました。さぁ、これをお飲みください」 しばらくして戻って来た小梅は、まりに、湯呑みを渡し、中に入っている液体を飲むよう催促する。 …

平安恋奇譚ー31

「(どうしよう…私…本当に…蒼様を…好きになっちゃった…)」 蒼が執務に向かい、小梅を下がらせて、ひとりになったまりは、あれだけ心を奪われてはいけないと言われていた蒼を本気で好きになってしまった事に涙する。 飽きられたら捨てられる…捨てられたら生…

平安恋奇譚ー30

「私を…求めるまで…イカせてやらないぞ…」 蒼が欲しいと言わないまりに、蒼は、まりが自分を求めるまで焦らし続けるぞと囁く。 その言葉通り、蒼は、まりがいきかけたら、愛撫の手を止め、まりに決定的な刺激を与えない。 蒼に焦らされながら、まりは、喉元…

平安恋奇譚ー29

「まさか…ここでするのですか…?」 路地裏の壁に背中を押し付けられたまりは、蒼に、まさか、ここで事に及ぼうというのではないかと問いかける。 「そうだ…ここで…いつものようによがるのだ…それがお仕置きだ…」 まりの問いに、蒼は、まりの着物の前を肌蹴さ…

平安恋奇譚ー28

「まり」 「え?あ、蒼様…」 都のはずれに残してきた家族を思い出していたら、蒼が戻って来ていた事に気付かなかったようで、不機嫌そうにまりを見る蒼に、まりは、申し訳なさげに蒼を見上げる 「何度も声を掛けたのに、気付いてなかったな」 「すみません……

平安恋奇譚ー27

「キョロキョロするな…」 初めての都に、周りをキョロキョロと見るまりに、蒼は、あまりキョロキョロと見るなと囁く。 「すみません…都は初めてで…」 蒼にキョロキョロするなと言われたまりは、都が初めてで、見るものすべてが新鮮だったのだと、蒼に詫びる…