あれから何時間眠っていたのだろう…?
意識を取り戻したまりは、慌てて蒼の姿を探す。
「お目覚めになられましたか?」
まりが、蒼の姿を探していると、目の前に十二単姿の女性がいて、目が覚めたかと声を掛けられる。
「私…まり様の…お世話を仰せつかった小梅と申します…」
まりがその女性に驚いていると、その女性は、まりの身の回りの世話を蒼から仰せつかった者だと告げる。
「あの…蒼…様は…?」
「蒼様なら…執務中です…また夜来るという伝言を承っております…」
蒼はどこに行ったのかと訊ねるまりに、小梅は、蒼なら執務中で、また夜に来るという伝言を蒼から承っていると答える。
「夜…ですか…」
「はい…夜にお越しになります…」
夜という言葉に、夜に起きる事を想像して身を固くするまりに、小梅は、蒼は夜に来ると笑いかける。
「とにかく…本物の姫君を奪いに行ったわけではないのですね…?」
「そうです…蒼様は…とても…ご機嫌がよろしかったようですよ…」
本物の姫君を奪いに行ったわけではないと安堵するまりに、小梅は、蒼の機嫌がとてもよかったと笑いかける。
「お食事をお持ちいたしますね…蒼様との時間は体力勝負ですから…」
これから始まる生活に不安を覚えるまりに、小梅は、蒼との時間は体力勝負だから、食事を運んでくると告げる。