「あの…これは…」
「受け取れません…でも…サルタンにお伝えください…私は…あなた様の誠実さは確かに受け取ったと…」
贈り物をどうすればいいかと宦官に訊ねられた凛子は、やはり高価なものは受け取れないと答えると、宦官に、アスランの誠実な言葉は確かに受け取ったと伝えて欲しいと告げる。
「はい…確かに…伝えておきます…」
凛子の言葉に、宦官は、凛子の言葉をアスランに必ず伝えると言い残し、凛子の部屋を出ていく。
「リンコ…可愛いことを…」
宦官から凛子の言葉を聞いたアスランは、凛子の可愛い言葉に頬が緩むのを感じる。
「だが…ハレムの女が何も持たないのはよくない…これだけは受け取るようにと説得するのだ」
アスランは、ハレムの女が何も持たないのはよくないから、この贈り物だけは受け取るように説得するのだと宦官に告げる。
その言葉を受けて、宦官はまた凛子のもとを訪れる。
贈り物を受け取らない凛子と受け取らせたいアスランの間を何度も行き来した結果、ようやく凛子が根負けして贈り物を受け取った時には、夕闇が迫っていた。
「ようやく…受け取ったか…」
息も絶え絶えに、凛子がようやく贈り物を受け取ったという宦官の報告を受けたアスランは、凛子に自分の気持ちを受け取ってもらえた事に喜びを隠すことなく、満足げに笑い、今宵も凛子のもとを訪れようと心に決める。