砂漠の薔薇ー26

「どちらへ…?」


「いいところだ…」


 馬にいきなり乗せられ、どこへ連れて行かれるかわからない凛子は、アスランに、どこへ連れて行くつもりなのか訊ねたが、アスランは、いいところだと答えたきり、何も教えてはくれなかった。


「着いたぞ…見るがいい…」


 馬が砂漠のオアシスの一角に辿り着き、アスランは、凛子に目的の場所に着いたと声を掛ける。


「うわぁ…綺麗な…星空…」


 砂漠のオアシスに降ってくるような星空を見た凛子は、アスランにしがみ付きながら、星空が綺麗だと感嘆する。


「そうだろう…この国の星空はとても美しい…特に…ここから見る星空は格別だ…」


 オアシスに降ってくるような星空に感嘆する凛子に、アスランは、この国の星空は美しく、特に、砂漠の中で見る星空は格別だと呟く。


「この国には星に関する伝説がある…」


「どんな伝説なのですか…?」


  この国には星に関する伝説があると呟いたアスランに、凛子は、どんな伝説なのかと問いかける。


「この砂漠の星を共に見た男女は…永遠に結ばれるというしがない伝説だ…」


 凛子の問いに、アスランは、この国に伝わる伝説を話し、しがない伝説だと笑う。


「だが…リンコとなら…その伝説も…夢話ではないような気がする…」


 自分を静かに見つめる凛子に、アスランは、凛子となら、その伝説も夢話ではないような気がすると呟き、凛子に口付ける。


 降り注ぐ星空の下で、アスランと凛子は口付けを交わし合い続ける。